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化け物と化け物

「オラっ!」


俺が“奴“を蹴り飛ばすと、壁を突き破り奴は外に放り出された。


「テメェ、何もんなんだ?兵士共を干からびさせるその力といい、その異形の剣といい、あきらかに普通の人間じゃねえ。ひょっとして、その剣の方が本体なのか?」


俺は興味本位で奴に問いかけるが。


「………」


奴は沈黙を通す。


「ちっ…答える義理はねえってか。だったら、ぶっ潰す!」


俺は息をつく間も無く近付き、手刀を奴の左腕に向かって打つ。


「………」


奴は抵抗する素振りも見せず、俺に左肩から先にかけて切り落とされる。


そして驚くことに、その左肩は切り落とされた断面から肉を伸ばし、気づけば先ほど切り落としたはずの左腕が生えていた。


「おいおい、冗談きついぜ…回復能力まであんのかよ!?」


俺が愚痴を叩くと、奴はその剣を両手に握り、真っ二つに離した。


そして、剣は姿を変え、二丁拳銃の姿をしていた。


「………」


奴は引き金を引き、銃を撃った。本来ならいくら早くとも連射は1秒では2、3発が限界だった。


しかし、奴はその瞬間に30から40の弾を撃っていた。


「ぐっ…!おおおぉぉおっ!」


俺は身体を駆使し、球を避けていたが、避けた先の弾に肩を撃ち抜かれた。


「うぅっ!」


俺は堪らず苦悶の声を上げる。


「少佐!」


そこにローズが必死に声をかけて来た。


俺はローズを一瞥し。


「ローズッッ!!本部にあれを用意させろ!」


声を張り上げ指示した。


「あれ…ですか!?」


「そうだ!月宮軍事国家の現最強兵器だ!」


俺の指示に若干戸惑いながら。


「ですが少佐!アレを持って来るには30分はかかります!それに上の許可がないと…!」


「怪物のフラムラスが御所望だと伝えてやれ!ぐっ…!持ち堪えてやるさそれくらい!」


銃弾を避けながらどうにかして伝える。


「それと、剣を一本投げてくれないか?生身じゃどうしようもねえ!」


「は…はい!」


ローズは自分の短剣を取り俺に投げた。


それを見たのか、それとも感じ取ったのか、奴の銃がふたたびスライム状になり、取り込もうとする。


しかし、俺は大きくジャンプし、先に受け取った。


「俺はあいつほどスットろかねえよ。ローズ、ありがとよ。じゃ、頼んだぞ。」


ローズは俺にお辞儀をすると転移魔法を使い、姿を消した。


「さて…これで俺も本気が出せるぜ…」


そう言いながら俺は胸元からテニスボール程の大きさの球体を出した。


球体には複数の穴が規則的に開いている。


「これはなぁ、俺が軍の開発部からこっそりくすねて来た最新の兵器だ。まだ試作品だけどな。こいつに空気中のマナをぶち込むと勝手に魔法が出てくんだ。おっと、話は最後まで聞くもんだぜ?」


奴がまた銃弾を放って来たので、今度は短剣で片手間に弾く。


「威力だけは自在魔法級…ま、まだ3つしか選べないみたいだけどな。そうだなぁ…こいつは人工的に作られた魔法…うん、アルティフィシャルと呼ぼう。人工って言葉を外国語にしただけだけどな。」


俺は説明を続けていたが、隙を窺っているのか、攻撃をしてこない。


「だがこいつにも一つ難点がある。こいつは燃費が悪くて、マナが普通の人間の倍必要になる。とてもじゃないが大気中のマナをそのまま吸収させていたんじゃ、使えるようになるまで数日はかかる。マナを効率良く充填するための専用装置を本部は用意していたみてえだな。だが、俺が使うんなら話は別だ。」


そう言いながら俺は手を空にかざす。すると手の周りが青色に輝く。


「分かるか?これは空気がマナに変わっているんだ。そしてこんな大量のマナを一瞬にして入れたんなら、速度は機械ごときとは比べ物にならないだろうなぁ!」


本能で感じたのか、奴はこちらに向かって凄まじいスピードで向かって来る。


「もう遅いぜ、アルティフィシャルコマンド、『バーン』!」


俺が叫ぶと同時、球体から凄まじい炎が噴き上がる。


「さぁ…どうだ…?」


俺は充填をしながら、煙に包まれた奴の姿が現れるのを待つ。


「…………」


そこには、自分自身を水のバリアで包んだ奴の姿があった。


「へっ…死なねぇのは勘付いていたが、まさか水魔法まで使えるとはな…。」


「…………」


こちらを睨みつける奴の目は、まるで「早く次を持ってこい」と言っているようだった。


「ちっ…言われなくても喰らわせてやるよ!アルティフィシャルコマンド、『サンダー』!」


俺はふたたび球体を構え、雷撃をいくつも飛ばす。


奴は守りに水を扱う。剣で弾かれようとも、そう何発も弾けるものではないし、水を使ったんなら数億ボルトの電撃が体に走る。


さぁ…どうする…!?


奴は、あろうことか、水のバリアを解き、再び無抵抗になっていた。


「な…!?どういうことだ…!?クソっ、食らえ!」


走る雷は、奴に直撃しようとしていた。


しかし、奴の目の前に突如水が現れ、奴を庇ったのだ。


「馬鹿め!水は電気を通し、その先へさらに感電させる!お前を痺れさせてや…?」


しかし、奴は身体を震わせなければ、倒れることもなかった。


その代わりに、俺の全身を駆け巡るようにして、痺れが襲う。


「そ…そんな…確かに水は奴の近くで…!」


しかし奴の足元を見ると、そこに水はなかった。


「な…に…!?」


そして水の行き先を辿ると。


「お…俺だ…!水の根元にいたのは、俺だったんだ…!」


俺の足元近くから、水が伸びていたのだ。


「く…そ…!」


そのまま俺は地面に倒れ伏した。


そんな俺を見て、奴は一歩一歩近づいて来る。


そして奴が俺の顔寸前にまで足を近づけさせ、斬りかかろうとした時。


俺は、最後の力を振り絞ってアルティフィシャルを発動した。


「へ、へへ…。『グロームリミッター』…。言ったろ?三つだってな。」


奴は腹を極大の針で貫かれていた。


「ぐ…。流石にもう限界か…。悪いな。相棒。身体返してやれなくて…。」


奴はそれでも針を抜き、身体を再生した。


今度こそ、頭を叩き割ろうと目を見開き、剣を振り下ろした。


が。


暴風が吹き荒れ、俺も奴も飛ばされた。


そして、地面が影で包まれ、空に浮く物体は太陽を隠し、俺を吸い込む。


それは浮遊戦艦であり、空中要塞。


月宮の現時点最終兵器。


「少佐、お待たせしました。戦艦『三日月』到着です。」


俺は微かに笑みを浮かべ。


「よくやった。さぁ、あのゴキブリ野郎を始末するぞ!」

次回、超機能搭載しまくりの戦艦が、来ます。

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