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初陣

朝、まだ日が昇りきっていない時間帯に、俺は起きた。


3時間後には集合場所へと向かわなければならないので、テキパキと準備を進める。


軍服。レーション。その他のものを装着し、部屋を出る。


「おや、もう行くのかい?」


外にはリブロがいた。


「行かないと処罰が下るからな。遅れるよりかはいいさ。」


それを聞くとリブロはおもむろに片手をポケットに入れ、何か飴のような物を出し、俺へ差し出した。


「はい、これを持っていくといいよ。」


「なんだ?これ。」


透き通った青色をしたその物体は、中に気泡のような物が浮かんでいた。


「使ってからのお楽しみさ。どうしようも無いピンチの時に是非使ってくれたまえ。」


サプライズでもしているようなリブロの言葉に、俺は半ば心の中で首を傾げながら出発した。___


___集合場所へ着いた俺と他の軍人達は、幾つかの隊に分けられ軍用車へ乗った。


そして今は、その軍用車で戦場へと向かっている。


「どうしたんだ?体調が悪いのか?」


俯いていた俺は話しかけられ、頭を上げる。


その人は、俺の隊の隊長だった。


「ああ、いえ、少し、ほんの少しなんですが不安で…。

こういう事を話すのはあまり得意では無いんですが、自分は今まで仕事に就くタイミングがなくて、毎日通行人をカツアゲして、その日暮しで暮らしていたんです。

だから、人を殺してしまうことになるのは、多分、今回が初めてになると思います

なんというか、それが不安という形で出てきて…。」


それを聞いた隊長は自分の髭を撫でながら。


「なるほど?確かに、それは難しいことだな。

けどな、ここに来る人間っていうのは、何かしら理由があってきているんだ。

お前のそれだって、立派な理由の一つだ。

そして、軍人は絶対にいつかは人を殺めることになる。

それを耐えるために、お前に一つアドバイスをしよう。

いいか、お前はこれから人を“殺し”にいくんじゃ無い。人を“守り”に行くんだ。」


「守りに…?」


「そう、お前がここで敵をいち早く倒せば、こちら側の死人は減る。お前はアルバキュリオの軍人を殺させないために、彼らを守るんだ。」


「…御教授ありがとうございます。少し、気が楽になりました。」


「おお、そうかそうか。なら良かった。」


それを言うと、隊長は元の場所へ戻っていった。


俺は…、みんなを守るために戦うんだ!


その時だった。


突如として目の前が光に包まれ、目の前の空間が吹き飛んだ。


俺の体はズタボロになっていた。


「な…何が起こったんだ…!?」


俺は意識を失いかけたが、とっさに到底無を手に取った。


到底無からエネルギーが流れ出て、俺の体を包み込み、失われていた肉を再生していく。


あたりを見回すと、砕け散った車、軍人がそこら中に倒れていた。


規模から察するに爆撃か何かを食らったのか。


状況を把握するために、生存者を探そうと歩き始めたその時。


地平線の彼方から人の集団が迫ってくるのが見えた。


あの服は…アルバキュリオのものでは無い。


と言うことは…例の敵対国の連中か!?


「まずい、すぐに退避を…!」


逃げようとした時、あの隊長の言葉が脳裏をよぎった。


『お前はこれから人を“殺し”に行くんじゃない。人を“守り“に行くんだ。』


…そうだ、仲間を守れずに何が人を守りに行くだ?


あいつらを食い止めなければ!


だが食い止めると言ってもどうするんだ?何か手立ては…。


そんな時、かろうじて残っていたポケットに丸い球体の感触を感じた。


「そうだ…!リブロから渡されたあれなら…!」


俺はそれを取り出し、手に持つ。


しかし、ここであることに気付いた。


これ、どうやって使うんだ?


使い方をリブロは教えてくれなかった。


ああ、くそ…。使い方さえわかればどうにかなるのかもしれないのに…!


そんな事を思っている間にも連中はみるみる迫ってくる。


俺は解決方法を考えあたふたしていた。


その時だった。神の気まぐれか、はたまた奇跡か、俺は手からそれを投げ出してしまい、それは俺の口へと入り、そのまま喉を通っていった。


「…!?ゲホゲホ!胃に入っていっちまった…!」


もう後がない。そう思った時。


俺の体は徐々に浮かび、気づけば空中を飛翔していた。


「な…なんだ!?飛んでいるぞ…俺!」


そこで初めて集団は俺の存在に気づいた。


「な、なんだ?まだ生き残りがいたか…。忌々しい。総員、撃て!」


銃撃が開始される。しかし、俺はそれを躱し、敵へと向かう。


「一掃してやる。到底無!」


俺は到底無を刀へ変化させ、さらに氷の刃を継ぎ足す。


ビルの高さを優に超える大太刀となった到底無を地上へと振り回す。


「う、うわああぁぁーっ!」


膨大な質量の前にはなす術もなく、敵は氷の刃に巻き込まれる。


後には、潰れた死体が残るだけだった。


到底無はその魂を吸収していた。


「…ふぅ。一時はどうなるかと思ったが、何とか守り切れたな。

あれは体内に摂取すると効力が発動するようだ。他にも色があったが…。」


そんな事を呟いていたら、瓦礫から抜け出してきた少女がいるのが見えた。


「おお、生きている人がいた!大丈夫か?すぐに手当てをしてやるから___」


俺がその生存者に向かって歩み始めた矢先、体内に電気が駆け巡る感覚を覚え、俺はその場に倒れ伏した。


「な…何…で…?」


俺は戸惑いを隠せなかった。何故なら、その攻撃を加えた人物は___


その少女だったからである。


「対象、096の行動停止を確認。第二フェーズへと移行します。」


そういうと少女は、俺に何かの機器を取り付ける。


「な…何を…する…つもりだ……。」


俺がそう問いかけると。


「…あなたの心の奥底に眠る悪意を目覚めさせてあげるの。悪意こそがあなたの力…。」


「な…に……?ぐぁぁっ!」


身体中に不快な感覚と苦痛が流れ込む。


「___!!_______!!!!」


到底無が激しく唸り、黄金の姿が漆黒へと変貌していく。


そして俺自身も蝕まれるように、黒い姿へと変化する。


「ぐあぁぁっ!うあぁぁああっ!!う…あ…。」


そこで俺の意識は途絶えた。


「…成功ね。さあ、行きなさい。」


俺、いや、俺の影とも言えるその存在は、敵地へ向かって飛んでいった。

黒い影へと変貌してしまった村人!

どうなってしまうのでしょうか…?

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