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卒業

召集命令と大きく書かれた文字の下には。


『明朝、戦線へ出向かれたし。』


とだけ書かれていた。


…要するに、戦いに行けってことか?


俺は状況を理解するために誰かに説明をしてもらおうと知っている人間を探した。


いや、仮に戦線に出向いたとして、学校はどうなるんだ?


考えていると、マルフィス先生がいた。


「マルフィス先生、少し良いですか。」


「あら、どうかしましたか?」


俺はマルフィス先生に封筒の中身を見てもらい、説明を頼んだ。


「なるほど…この場合学校からは卒業と言うことになりますね。」


「で、でも…自分はまだここに来て二週間なんですよ?それなのに卒業って…」


いくらなんでも早すぎる。


「村人さん、このアルファベルトの卒業条件は、軍人として働くことなのです。

本来は半年ほどかかるのですが…召集された限り、あなたは卒業となります。」


マジか…


「…大丈夫ですよ。あなたならきっと帰って来れるはずです。」


「…ありがとうございます。」


俺はマルフィス先生から激励の言葉を貰い、その場を後にした。



さて、荷物をまとめなければいけない。


…と思っていたが、荷物が全くなかった。


いい加減荷物が少なすぎるというのもどうかと思う。


結局、俺は布団だけ畳んで部屋から出た。


すると、レギウスとアトランタが朝食へ行くのか食堂へ向かっているところに出会った。


「お、村人か。一緒に朝飯食うか?」


レギウスはいつもの朝と同じように言う。


「うぅ、久しぶりにレギウスと2人で食べられると思っていたのに…」


アトランタは俺が一緒に行くと思ったのか、残念そうな表情をする。


「あー…悪いんだが俺今日は食べれないんだ。」


「お、そりゃなんでだ?」


レギウスが疑問に思う横でアトランタも驚きと嬉しさが入り混じったような表情をする。


「俺、今日で卒業なんだ。」


「はあぁ!?あんたが!?卒業!?ありえない!私はここに来てもう三ヶ月になるのよ!?」


アトランタは今度は非常に驚き、食い気味に叫んだ。


「いや本当だよ。ほらこれ。」


俺は2人に届いた紙を見せる。


「「本当だ…」」


レギウスも信じていなかったのか、二人でみて驚いている。


「まぁ…なんだ、めでたいことだと思うぜ。

頑張れよ。お前はこの俺を倒したんだからな。勝って来いよ。」


「そうよ、レギウスを倒しておいて負けて帰って来るなんて許さないわよ。まあ、まぐれで勝っただけかもしれないけどね。」


レギウスとアトランタからも俺は励ましの言葉をもらった。


「ああ、勝ってくるさ。」


「俺たちもすぐに追いつくからな。そら、行ってこい。」


俺は二人を背に学校を出た。








俺はアパートの前に立っていた。


まさか一ヶ月もしないうちに帰ってくることになるとは…


あいつが何かしでかしてなければいいんだが…


そう考えていると、105号室のドアが開いた。


そこには二週間ぶりに顔を見る、迷惑な隣人の姿があった。


「おや、村人君じゃないか!だいぶ早いお帰りだね、退学にでもさせられたのかな?」


「んなわけねえだろ、召集命令が届いたんだよ。

お前中佐なんだろ?何か指示されていたりしているんじゃないか?」


二週間ぶりにあって早々、リブロは俺をからかってきたので、話を切り替える。


「お見通しかぁ。ほら、これ。場所が書いてあるから。あとこれ。」


リブロは懐に手を突っ込み、10000オウル札を5枚出した。


「私からの餞別さ。これで今日の夕食を食べに行こうじゃないか!」


「餞別ってお前…そもそもこんな大金持ってどこに行くんだ?高級料理店にでも行くのか?」


一日のうちに消費した金が最大2400オウル程だった俺には使い道が高級料理店ぐらいしか思いつかないが…


「そういうのは私の性に合わないよ。食べるのはさ、焼肉だよ!や・き・に・く!」











焼肉屋で浪費し尽くした後。


俺はリブロをおぶっていた。


「うぃ〜、ひっく。」


リブロは酔いに酔っていた。


「お前飲み過ぎなんだよ。店員さんが引いていたぞ。」


リブロはジョッキ二十数杯のビールを飲んだのだ。


途中から明らかに50000を超えていたが、気にすることもなく飲んでいた。


「君は全然飲んでもいなかっらし食べてもいなかっらじゃないか、わらひがせっかく頼んだ特上ハラミらって二皿しか食べていなかっらひ。結局5皿の肉だけらひ、ジョッキらっへ2杯じゃにゃいか…」


「お前が異常なんだよ。普通の人間だったらそれくらいが普通だ。

というか、お前はなんであんだけ飲んでまだ意識があるんだよ。

肉だって10皿くらい食ってただろ。」


「魔法だよ魔法、ひっく。…ねえ、村人君。君は私が中佐って言うのは知ったんだよね?」


リブロは赤い顔で俺に聞いてくる。


「あー、お前の紹介状を渡した時にな。あれも計算内だったのか?」


よくよく考えてみたら、あれを渡した時にリブロが権力を握っているのは多少なりともわかっていたはずだ。一応発明やら研究やらをしているのなら、気づかないことはないと思うが…


「さて、どうだろうね?」


こいつのことだから、気付いてないかもしれない。


「君は私が中佐っていうのをわかった上で、いまもこうして話しているわけだ。

態度を改めようとかは考えなかったのかい?」


確かにこいつはかなり高い地位にいることは気づいた。だが。


「お前はどちらにせよ俺にとっちゃ迷惑な隣人だよ。それにお前はまだ俺に壁についての貸しがあるからな。」


俺がそういうと。


「…ふふふ、はははは!」


とひとしきり笑った後に満足そうな笑みを浮かべ。


「それでこそ私のお隣さんであり、私の部下だね。さあ!このまま帰ろうか!」


と言った。


「俺がいつお前の部下になったんだよ。」


俺は呆れ気味に言う。


歩いて帰って欲しいところだが…まあ、今日ぐらいはおぶってやるか。

次回から村人は戦線へ向かいます。

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