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『推進』

「それで、話って何かしら?」


俺はアトランタに話しがあるといい、グラウンドへ呼び出した。


「ああ、俺と勝負をしないか?どちらかが戦闘不能になるまでの一本勝負。

俺が勝ったら、お前にはこのいじめをやめてもらう。

そして、お前が勝ったら、俺はこの学校から出て行こう。」


これではまだ相手から了承を得るのは難しい。


だが、俺には秘策があるのだ。


「はぁ?馬鹿言わないで。

私はあなたにこれを続けていればいつかは追い出せるのにどうして戦わなければいけないの?」


「それと、今朝レギウスからくすねた食いかけのパンもやる。」


「乗ったわ。」


作戦成功。


俺たちはグラウンドの中央で対峙する。


それを見つけた生徒達がフェンス越しにアトランタと俺を囲むようにして集まる。


「さあ、いつでもいいぞ。」


「あら、私に先手をくれるのかしら?」


「ああ、俺の攻撃はお前の攻撃を全部受け流してからだ。」


まずは正体不明のあいつの戦術を把握しなければならない。


もしもカウンターが主流であるならば、先に仕掛けるのは非常に不味い。


「…舐められたものね。」


アトランタは手をコートのポケットに入れる。


何を出してくる?ダガーか?それとも…


俺はアトランタの動きを一瞬でも見逃さないように、目を凝らして観察する。


アトランタが出したものは、二丁拳銃だった。


「…は?」


俺は驚愕と混乱で思わず声が漏れてしまった。


アトランタは気にも止めずに、俺の脚を狙って銃弾を撃つ。


「うぉっ!」


俺はとっさに身体を反らして躱す。


「お前!銃とか卑怯___」


俺が武器に対して抗議しようとした時、


俺の背後から銃弾が、俺の右脚を貫く。


「っ!?」


俺を撃ち抜くと銃弾は空中で停止し、再び俺へ向かう。


「二度も食らってたまるか!」


塔底無で地面へ叩きつけるが、地面にめり込んだまま銃弾は勢いを衰えさせず俺の方へと進む。


「何だとおおぉぉっ!?」


「これが私の自在魔法、『推進』よ。

力が働く方向を自由に変えられる。そして私がこれを解かないかぎり、その弾は進み続ける。」


アトランタは勝ち誇ったように言う。


それを聞き、俺は銃弾を弾き飛ばし、向かってきたそれに身を翻す。


「なるほど、ならお前がマナ切れを起こすまでかわし続ければ良い訳だ!」


連続して使っているならば、体内のマナの消費量も多いはず。


銃弾一発程度なら、高速化魔法と『水』のジェット噴射で躱し切れる。


「あなた、分かっているのかしら?これはまだ一発目なのよ?」


…何?


間髪入れず、アトランタは弾丸を二発撃ち放った。


弾丸はそれぞれ俺の左右へ行くが、俺のいる方へと向きを変え、俺を撃ち抜こうとする。


「複数にかけられるのかよ…!ちっ!」


俺は両手に『水』を出し、両側に壁を作るようにして広げる。


それと同時に温度を下げ、氷へ変化させる。


左右から来た弾丸は俺に当たる前に氷の壁に阻まれる。


もう一発の弾丸は水流のジェットでブーストしたジャンプで躱す。


そしてそのままアトランタの方へ飛びかかり、頭へ斬りかかる。


しかし、塔底無はアトランタの頭の数センチ先で止まっていた。


「なに…!?」


「私は自分の自在魔法の使い方をわかっているの。よくみてみなさい。あなたのその剣に何か引っかかっているんじゃないかしら?」


アトランタに言われ、塔底無の剣先を見ると、そこには銃弾があった。


それに気づくと同時、俺は銃弾の勢いで後ろに吹き飛ばされ、自分で作った氷の壁に当たってしまう。


「ぐぁ…!」


倒れ込んでしまうが、ここでは終われない。


多少のダメージなら塔底無で回復できる。


俺はからだの傷を回復させ、立ち上がる。


その間もアトランタは銃弾を放つ。氷の壁で塞いでいた銃弾も壁を貫き合計八発の弾丸が俺を襲う。


俺は氷の壁を展開し三発を防ぎ、ジェット噴射と高速化魔法で二発躱す。


更に塔底無で一発弾く。


しかし、死角にあった最後の一発が俺の右足のふくらはぎを貫く。


「くっ…!」


俺は脚を無力化されバランスを崩してしまう。


「とどめよ。」


アトランタは十数発の弾丸を撃ち、俺を包囲するように銃弾を空中に構える。


このままじゃ俺はこの銃弾全てに撃ち抜かれてしまう。


考えるんだ…自分に与えられたこの『水』をさらに活用する方法を…。


目潰しをすれば隙をつけるかもしれない…!


いやしかし、先ほど剣での攻撃は防がれたばかりだ。


銃弾よりも速く動ける方法だ…それが必要なんだ…。


思い出せ…今までの特訓、闘いを…!


!!…あった。ひとつだけ、あの銃弾の速さを抜く方法が…!


「食らいなさい!」


アトランタはすべての弾丸を俺へ向けて撃ち放つ。


それと同時に、俺もアトランタの目を目掛けて水を撃つ。


「っ…!?」


アトランタは不意を突かれ、モロにそれを食らう。


アトランタは無理やり目を見開き、目潰しを治すが、その時には俺の姿はそこから消えていた。


標的を見失い、いくつかの弾丸は地面に当たるが、三、四発の弾丸がアトランタの腹部近くに直進する。


「くっ…!か、解除!」


アトランタはあと少しで当たるところで銃弾に掛かった『推進』を解く。


しかし、銃弾をアトランタに当てることは俺の計画ではない。


「狙い通りだ。」


「っ…!一体どうやって!?」


「お前を目潰ししたあと、俺はジェット噴射で後ろへ回ったんだ。さて、お前を守る盾はもう無い。」


「舐めないで!まだ弾丸は残って___」


「そう言うことを言ってるんじゃ無い。」


「はぁ?何を言ってるの?食らいなさい!」


そういうとアトランタは後ろの弾丸を俺へ向けて放つ。


その弾丸は俺へ向かい俺の頭を___


通り抜けていった。


「…え?」


「それは残像だ。お前の弾は見切った。もう当たらないぞ。」


「くっ…。でも、あなたの剣戟は私の銃弾で受け切れるのよ!」


「ああ、剣はな。」


そう言いながら、俺は水流ジェットと高速化魔法を自分自身に掛け、アトランタを殴る。


アトランタは弾丸で防ごうとする。


しかし、それは残像である。


弾丸の防御をすり抜け、拳がアトランタに突き刺さる。


「うっ…」


「剣のスピードが足りないのなら、素手で解決するまでだ!」


更に連撃を加え、アトランタを吹き飛ばす。


フェンスに到達する前にアッパーカットを繰り出す。


「とどめだ!食らえ!」


俺は空中へ飛び上がる。


「オラァ!」


一回転し、アトランタに渾身のかかと落としを喰らわせた。







一方その頃。


「では、これより会議を始めます。今回は少佐、中佐、大佐の近況報告、これからの方針の決定です。」


「はいはーい、じゃあ、わたしから行っちゃうねー。」


「ではリブロ中佐、どうぞ。」


「えー、私の担当の村人君は、自在魔法『水』を獲得したよ。

更に現在は軍学校にいるね。レギウスくんと戦ったらしいんだけど、問題なく勝ったと聞いているよ。」


「村人…あの無名の男か。

身体能力と運動センスがずば抜けて優れていたらしいが、自在魔法も獲得したのか?

やはり魔法に限ってはお前の腕は一流だな。」


黒いマントに身を包んだ男は言う。


「両方申し分ないのなら、今回の計画の一軍に入れても良いんじゃないのか?」


「待った。一軍は俺たち9人の担当から3人しか出せないんだ。

そんなすぐに決めちゃあ納得が行かないぜ。

ほら、俺んとこのフリムだってなかなかのもんだぞ。自在魔法はもちろん、戦術の幅も広い。」


「そういえばさっきさらっと流していたけど、私のところのレギウスが倒されたですって?」


「うん、隙をつかれて負けちゃったみたいだね。」


リブロは気にすることもなく、当たり前のように言う。


「はー…あの子、最後まで油断するなっていつも言い聞かせているのに…」


「まぁまぁ、レギウスさんも健闘していましたし、お説教は今回は許してあげましょう。」


「ファルムカ…あなたは優しすぎるのよ…だからあなたの担当の子もあなたを馬鹿にしているのよ。」


「う、うぅ…」


「……少し用を足して来る。」


「あ、じゃあ私もいこっかな。」


マントの男の後ろをリブロは歩いていく。


「…何のつもりだ?リブロ。」


「べつに?あ、睨まないでよ。謝るから。怖いなぁ。」


「ふざけたことを言うな。

お前が本気を出せば私はおろか、軍の本部であるここを壊滅まで簡単に追い込めるのに。」


「またまた〜。」


「あくまでとぼけるつもりか…。」


「まあそれは置いといて、私の担当の村人君を一軍へ入れるように協力してくれないかな?」


「わかった。」


「お、素直だねえ。」


「どうせ拒否権なんて私にはないんだろう?」


「ばれたか。」







アトランタに勝利したその夜、ついでに二丁拳銃を奪ってみたが、なんと塔底無が取り込んだのだ。


変形もするし、普通に撃てた。謎は深まるばかりである。


そして俺は今目覚めたわけだが、ドアの下から何か封筒らしきものがあった。


…なんだこれ。


ひとまず中身を見るしかない。


中には三つ折りにされた紙があった。


書かれていたものは。


「…召集命令?」


俺はどうも招集されるらしい。

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