しりとり。
アメブロ掲載作品です。
春らしい日差しの中
いつものあいつと下校する。
ポカポカの陽気が気持ちよくて
ふわあ、と大きなあくびをしたら
あいつがしりとりをしようと言い出した。
「なんでしりとり」
「いいから、春のしりとりな!」
突然何を言い出したんだ。こいつは。
「はい、ふきのとう」
「う。・・・うど」
「ど。どどど・・・ドーナッツ」
「って、おい、全然春じゃねえだろ」
抗議したらケロっとした顔で
「おれは花より団子じゃなくてドーナッツ派だ」
なんて言い張る。
くそ、まあ、いいか。
「つ?つつつ・・・つくし」
「しー・・しし。しおから」
「おい、塩辛って・・」
自分で言い出したくせに
全然春になってない。
なのにやっぱり
「花見の日本酒には塩辛だろ」
なんて、高校生らしからぬことを言ってのける。
「なんだよ、もう・・。ら、らっぱ」
「お前こそ、らっぱって!」
それは、あれだ。
春の行進曲にはラッパが必要だろ?
「ぱ、かぁ・・・。ぱぱぱぱんつ。」
「つつつ・・・つき」
もう、春のしりとりじゃないよな。これ。
「きみがすき」
突然腕を掴まれた。
「きみが、すき」
もう一度正面から見つめられて
告げられる。
なんだ、これ。
しりとりか?
「はい。き、だよ」
ちょっと赤くなったあいつの顔を見ながら
しりとりを続けた。
「きぐうだな」
「なにがだよ」
おれもあいつの目を見てはっきり言う。
「よかった、おれもおまえがすき」
ふう、っとどちらからどもなくため息がもれた。
「き・・・きすしていい」
「いいよ」
お互いちょっと緊張して震えてて
ぎこちなくて
それでも
触れた唇は柔らかかった。
fin




