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また、いつか。

アメブロ掲載作品です。

就職前線に思いっきり異常のあった年に


同期で入社したあいつ。


たった二人の新入社員だったし


同じ年だし


自然に仲良くなっていった。



入社して5年。


もう、新人とはいえなくて


それなりに実績もついていた時期。



だからあいつが転勤になったと聞いても


それはそれでまあ、


そんなものだろうと思ってはいた。



___だけど、


心が痛むのはなんでだろう。





おれの家庭はちょっと事情があって


親の体の調子が悪くて


病院の付き添いだったり


家の事をいろいろしなきゃいけなかったり


ちょっとばかし背負い込んでいるものが大きかった。



入社できたのも社長の優しさだった気もする。


親を安心させなさい、


って試験のときに言われたっけな。



だから当然おれは出世コースからは


最初から外れてて


転勤も許してもらえてて


ありがたいくらい優遇してもらえてるけど


だけど。



だけど、あいつはいなくなる。


あいつはもうおれのそばにはいなくなる。


おれから離れて


遠くに歩き出していってしまうのだ。





送別会とは名ばかりの


2人っきりの飲み会。


なじみの焼き鳥屋でビールを煽りつつ


つい、泣き言が漏れてしまった。



「・・・ついに遠くに行っちゃうんだよな」


「うん」


「おれだけ残って、お前は出世コースに乗ったわけだ」


「・・・・おい・・」



ああ、わかってるさ。


こんなことグチたってどうしようもない。



だけど、この心に空いたポッカリとした穴を


どうやって埋めればいい?



「お前飲みすぎ。もうやめろよ」


「飲んでない」


「飲みすぎ。・・・絡むなよ、最後なのに。」




最後。


ああ、そうだな。


今日が最後なんだな。



お前は明日


遠くに行ってしまうんだな。






「元気でな」


ニコリと笑って見せて


ジョッキを掲げた。


「お前ならどこでだってうまくやれるよ」


おれが隣にいなくても。



「なあ、それホンキで言ってる訳?」


ふと、怒った声であいつが言った。


「ホンキでお前がいなくても平気だと思うわけ?」


ぐい、っと腕を掴まれた。



「お前がいなかったらダメに決まってるんだろ」


「・・・・え・・」


「絶対週末には会いに来るから。


だから、そんな寂しいこと言うなよ」


それって・・。



「なあ、お前わかってるんだろ?」


あいつの顔が近づいてくる。


「お前の事情があるから、仕方ないけど。


でも、いつかまたさ」



おれの隣はお前しかいないんだよ。





ああ、わかってるよ。


わかってるけど、


諦めようと思った。



でもいいのかな。


また、いつか。



またいつか、


お前の隣にいれるのかな。




「絶対会いに来るから。


お前だって、時々は来るんだぞ」


「・・・ん・・・」


「この先どこに転勤になっても


会いに来るから。


だから、お前もどこにでも会いに来るんだぞ」



うん。


絶対。


この先もずっと。



離れていても


お前の隣にいるのは


おれだけだ。











fin


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