↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どくろと転生少女の異世界ポンコツ事件簿  作者: みぃ
第三部 御殿の見習い
PR
35/76

幕間 料理人の口利き

 御殿へ戻ったマルセルは、用口の受け台へ籠を下ろした。


 葉物の束が傾き、端から一枚はみ出す。


 マルセルは葉を戻してから、グレーテへ顔を向けた。


「女中の募集、まだ決まってないな」


「ええ。どなたか心当たりが?」


「街道で一緒だった嬢ちゃんだ。さっき広場で会ってな。住み込みの仕事を探してると言うから、ここの話をした」


 用口を通りかけたヨーゼフが足を止めた。


「お名前は」


「テレサ。来るかはまだ分からん。少し考えるそうだ」


 ヨーゼフは戸口を空け、受け台の脇へ寄る。


「旅でご一緒した方でございますか」


「ああ。俺が魔獣に食われずに済んだのは、その嬢ちゃんのおかげだ」


 マルセルは籠の持ち手から指を離した。


「婆さんが道の脇で動けなくなってな。俺は前へ出たが、持ってたのは砂糖の箱だけだ」


「箱で防ごうとなさったのですか」


「ほかに持ってなかった」


 マルセルは両手を広げた。


 箱の向こうに見えた口には、青白い火花が散っていた。


 今なら、あんな板ではどうにもならないと思う。


「あいつが跳んだところを、嬢ちゃんが射た。顎の下に一本だ。俺の前で落ちたよ」


 ヨーゼフの目が、マルセルの顔へ戻った。


 マルセルは手を下ろした。


「俺はまだ、箱を抱えて立ってた」


 グレーテは黙って続きを待っている。


「礼を言ったら、仕事なので、だとさ。護衛を頼まれて乗ってたんだと。俺だけじゃない。あの馬車の客は、みんな助けられた」


「奉公のご経験は」


 グレーテの問いに、マルセルは首を振った。


「そこまでは聞いてない。女中の仕事を自分にできるか、気にしてたよ」


「それは、ご本人に確かめます」


「頼む。俺が女中の腕まで請け合うわけにはいかん」


 マルセルは籠の持ち手を倒した。


「だが、人柄なら俺が請け合う。来たら、話を聞いてやってくれ」


「お越しになりましたら、お話を伺いましょう」


 ヨーゼフはそう答えた。


「それでいい」


 マルセルは葉物の束を取り上げる。


 いつ来るとも、来るとも言っていない。


 まずは今日の飯だった。


 マルセルは葉先を確かめた。


 まだ張りがある。


 昼に使う分を選び、台所へ運んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。