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どくろと転生少女の異世界ポンコツ事件簿  作者: みぃ
第一部 アルワール村編
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24/29

幕間 歪み

 薬草を刻む音が、止まった。


 ……触媒は、誰が使う物なのか。


 ヴァルド石の場所を、ご存じですよね。


 前も、最初に「誰から」と聞きましたよね。


 あの子は、どこまで知っている。


 どこまで。


 分からない。


 分からない。


 マティアスは机の上の書類を揃える。


 一枚。


 また一枚。


 端を合わせる。


 ほんの僅かなずれが気になる。


 揃え直す。


 指先が止まらない。


 ……あの子は、あの日の夕暮れ、外にいた。


 トーマに追われて。


 報告書に、そう書いてあった。


 生きて戻ったあの子が話せば。


 地震の事故は、事故でなくなる。


 最初から、そうだったのだ。


 ……トーマの時は、決断が遅れた。


 まだ大丈夫だと思った。


 証拠はない。


 時間はある。


 そう思った。


 だから失敗した。


 同じ失敗は繰り返さない。


 守らなければならない。


 古文書を読み、地形を歩き、何年も答えを探した。


 知りたいという始まりまで、嘘だったわけではない。


 ……守らなければならない。


 研究を。


 私の研究を。


 あと少しなんだ。


 あと少しで完成する。


 ここで終わらせるわけにはいかない。


 止まるものか。


 止められるものか。


 テレサは止まらない。


 あれは必ず辿り着く。


 優秀だから。


 だから。


 ……一人、増えるだけだ。


 研究は残る。


 守らなければならない。


 私の研究を。


 私だけの研究を。


 マティアスはゆっくりと立ち上がった。


 もう、迷う理由はなかった。

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