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幕間 警戒
テレサの姿が見えなくなるまで、マティアスはその場に立っていた。
やがて、小さく息を吐く。
「……どうして、シリル君なんだ」
独り言だった。
旅商人のことを聞かれる。
それ自体は、おかしな話ではない。
村へ出入りしているのだから、話題になることもある。
それでも。
どこか引っ掛かった。
「いや」
苦笑して首を振る。
「考えすぎだな」
テレサはまだ子供で、狩りをして暮らしているだけだ。
何かを探り当てるような子ではない。
そう自分に言い聞かせ、歩き出す。
しかし、数歩進んだところで足が止まった。
「……考えすぎ、だよな」
誰に聞かせるでもなく呟く。
返事はない。
胸の奥に残った小さな違和感だけが、いつまでも消えなかった。




