それぞれの戦い 朝倉環2
タイムリミットまで残り三日
朝方。
どうにか試作品第一号が完成した。
さすがエリート集団だ。
これが天才たちの仕事というものなのだろう。
統括が残した構造式。
症状データ。
進行予測。
そこまで揃っていても、どうしても最後の一手だけが見つからなかった。
その壁を
本家から派遣された天才たちは、
乗り越えてみせた。
そして
試作品第一号が完成する。
「やりましたね!統括代理!」
歓声が上がる。
握手を求める者。
拍手をする者。
安堵の表情を浮かべる者。
数日間張り詰めていた空気が、
一気に緩んだ。
「だから、その統括代理って……」
朝倉は肩を落とした。
「もう、いいや」
みんなが笑う。
朝倉も小さく笑った。
「これで明日から寝れる」
「それが一番の願いなんですか?」
誰かが呆れたように言う。
「当然でしょ」
即答だった。
「ご協力ありがとうございました」
朝倉は本家の技術者たちへ頭を下げる。
「あと治験を行い、問題がなければ完成です」
すると年配の研究者が頷いた。
「さすが若様です」
「ここまで資料が揃っていれば、我々は組み立てるだけでした」
互いに握手を交わす。
うちの統括は。
やっぱり化物だ。
発症した初日に
ここまで組み上げていたのだから。
朝倉は大きく息を吐いた。
治験結果が出るまで、少しだけ仮眠を取ろう。
きっと大丈夫だ。
ここまで来たのだ。
うまくいく。
そう信じたい。
それは、レオが偽番薬に侵されてから四日目の夜だった。




