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それぞれの戦い 朝倉環3
タイムリミットまで残り二日
「大変です!」
研究室の扉が勢いよく開いた。
「神経系に異常数値です!」
「すぐ戻ってきてください!」
朝倉は仮眠室のベッドから飛び起きた。
眠ったつもりはない。
ほんの少し目を閉じただけだった。
急いで研究室へ戻る。
室内は騒然としていた。
治験開始直後。
解毒効果は確認されていた。
数値も良かった。
研究室には希望が広がった。
だから安心した。
少しだけ休もうと思った。
だが
モニターに表示された数値を見た瞬間。
朝倉の顔から血の気が引いた。
「……副作用?」
神経系への異常反応。
予測していなかった症状。
解毒はできている。
それなのに身体が耐えられない。
研究室から音が消えた。
誰もが画面を見つめている。
重い沈黙。
そして
真壁家から派遣された研究者の一人が呟いた。
「……間に合わないかもしれない」
誰も反論できなかった。
やり直し?
今から?
残り二日で?
朝倉は資料を見つめる。
構造式
反応式
実験結果
どこだ。
どこが間違っている。
統括の理論は正しい。
そこは確信できる。
ならば。
問題は何だ。
絶望が静かに広がる。
残された時間は二日。
誰も動けなかった。
研究室の時計だけが、
無情に時を刻み続けていた。




