出勤3
お昼。
指定された店へ入ると、すでに二人は席についていた。
「遅くなってすみません!」
唯衣は慌てて頭を下げる。
「ううん」
「全然」
そこまでは普通だった。
問題はその次。
「あれ?」
唯衣が目を瞬く。
「……え?」
「「統括!?」」
二人の声がぴったり重なった。
レオがいたことに驚いている。
唯衣の隣で
腕を組み不機嫌そうな顔までいつも通りだった。
「大丈夫なんですか?」
最初に口を開いたのは千景さんだった。
「心配したんですよ!」
珍しく本気で怒っている。
「ほんともう!」
レオは気まずそうに視線を逸らした。
「……悪かった」
「軽い!」
即答だった。
朝倉も深く頷く。
「統括」
「なんだ」
「無理です」
「何がだ」
「統括代理」
即答だった。
レオが薬の影響で出社できないため、その間の統括代理に朝倉環が任命されている。
「無理無理無理」
朝倉は首を横に振った。
「しんどいだけの役職じゃないですか」
「胃が痛くなるだけですよ」
「ほんと勘弁してください」
心の底から嫌そうだった。
レオは少し考える。
「……否定できないな」
「否定してくださいよ!」
朝倉が机を叩く。
そのやり取りがあまりにも日常的で。
唯衣は思わず笑ってしまった。
昨日まで泣いていたのが嘘みたいだった。
レオがその笑顔を見る。
少しだけ肩の力が抜けた。
「俺だって休みたいわけじゃない」
ぽつりと呟く。
「本当、勘弁してほしい」
その声に。
朝倉と千景さんが顔を見合わせた。
珍しい。
レオが弱音を吐いている。
「唯衣が心配だし」
レオは当然のように続ける。
「俺から逃げるかもしれない時に家にいられるか」
沈黙。
数秒後。
千景さんが噴き出した。
朝倉も耐えきれず笑い出す。
「統括」
「なんだ」
「重いです」
「重すぎです」
レオは真顔だった。
「知ってる」
唯衣の顔が一気に赤くなる。
「ちょ、ちょっと!」
「本人いるんですけど!」
するとレオは当然のように答えた。
「だから言ってる」
朝倉が額を押さえる。
「統括」
「なんだ」
「それを本人の前で言えるなら大丈夫です」
「何がだ」
朝倉は呆れたように笑った。
「恋愛です」
その一言で、店内に妙に甘くて気まずい沈黙が落ちた。
唯衣は顔を真っ赤にし、
朝倉は呆れ、
千景さんは肩を震わせている。
ただ一人。
レオだけが状況を理解していなかった。
本編の裏側や、レオと唯衣の甘い日常をXで更新中です。
小説の合間の息抜きにどうぞ。
X「真壁レオは今日も重い」
@reo_yui_archive




