番薬2
時間が経つにつれ、レオの呼吸は少しずつ落ち着いてきた。
薬が効き始めたのだろう。
苦しそうだった表情も、ほんの少しだけ和らいでいる。
レオが手を伸ばした。
「おいで」
その一言だけで。
唯衣の涙がまた溢れた。
「レオ……!」
駆け寄る。
そして思い切り抱きついた。
レオも同じ強さで抱きしめ返してくれる。
温かい。
ちゃんとここにいる。
それだけで涙が止まらなかった。
しばらくそうしていた後。
レオが少しだけ身体を離した。
そして真っ直ぐ唯衣を見る。
逃がさないように。
伝え損ねないように。
ゆっくりと言った。
「唯衣」
「落ち着いて聞いてくれ」
唯衣は涙を拭きながら頷く。
「俺は、お前しかいらない」
低い声。
けれど迷いはなかった。
「お前じゃなきゃ意味がない」
「唯衣、忘れるな」
レオの指がそっと頬に触れる。
「どんなことがあっても」
「俺はお前しかいらないんだ」
唯衣の目からまた涙がこぼれた。
「……うん」
「わたしもレオしかいらない」
レオは小さく息を吐く。
そして眉を寄せた。
「この吐き気がするような状況も」
「この解毒薬も」
「全部、俺が何とかする」
少しだけ口元が上がる。
「大丈夫」
「俺は天才だから」
あまりにも真顔だった。
唯衣は思わず泣き笑いになる。
そんな唯衣を見て、レオも少しだけ表情を緩めた。
そして再び真剣な顔になる。
「お前がどれだけ逃げたくなっても」
「俺は離さない」
「逃がす気もない」
唯衣は困ったように笑う。
「レオ……」
「でも、つらいでしょ……」
震える声。
「わたしがいるから……」
「レオを苦しめてる……」
その言葉に。
レオは少し驚いたような顔をした。
そして首を横に振る。
「違う」
即答だった。
「唯衣がいて苦しいことなんか一度もないし、これからもありえない。」
レオは額をそっと寄せる。
「怖いのは」
「お前を傷つけるかもしれない自分だ」
掠れた声。
本音だった。
「だから不安なことは全部俺に投げろ」
「全部受け止める」
「何回でも説明する」
「何回でも言う」
金色の瞳が真っ直ぐ唯衣を見つめる。
「俺はお前を愛してる」
「それだけは変わらない」
唯衣の唇が震えた。
「……わたし」
「ここにいてもいい?」
その問いに。
レオは一瞬だけ目を閉じる。
まるで。
そんなことを聞かれる方が苦しいとでも言うように。
そして唯衣を抱き寄せた。
「唯衣」
低く、優しい声。
「お前がいないと」
少しだけ笑う。
「俺、死ぬぞ」
「俺を殺せるのはお前だけだ···」
冗談みたいな言い方なのに。
その腕は震えるほど強かった。
「だから」
レオは髪へ顔を埋める。
「どこにも行くな」
雨音だけが静かに響いていた。
本編の裏側や、
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X「真壁レオは今日も重い」
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