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【完結】真壁レオは今日も重い 〜独占欲強めな白銀狼に溺愛されています〜  作者: ほしよみ
第一章

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レセプションパーティ7王狼の気配

レオの覇気が、爆発するみたいに広がった。

会場中のグラスが、びりりと震える。

獣人たちが本能で後ずさった。

強い。

圧倒的な、“王狼”の気配。

それなのに。

レオの腕の中の唯衣だけは、少しも痛くないように抱かれている。

「レオ……」

唯衣がそっと名前を呼ぶ。

その声に、レオの耳がぴくりと反応した。

荒れ狂っていた覇気が、ほんの少しだけ静かになる。

周囲が息を呑む。

ありえない。

暴走寸前の狼族が、たった一言で落ち着くなんて。

それは本能では説明できない反応だった。

まるで、魂そのものが呼び戻されたみたいに。


綾乃の唇が震える。

「……どうして」

理解できない。

薬は本物だった。

最高位の禁薬。

本来なら理性など吹き飛ぶはずだった。

なのに苦しみながらも唯衣しか見ていない。

レオがゆっくり顔を上げる。

金色の瞳。

そこには怒りと、苦痛と。

それでも消えない愛情が、ぐちゃぐちゃに混ざっていた。

「……お前、ゆいに使うつもりだったな」

低い声。

空気が震える。

綾乃が一歩下がった。

怖い。

こんなレオ様、知らない。

「わ、わたくしは……!」

「黙れ」

その一言で、空気が凍りつく。

レオは片腕だけで唯衣を抱えたまま、ゆっくり前へ出る。

脚が少しふらつく。

限界だ。

本能が身体を引き裂こうとしている。

それでも。

唯衣を背中へ庇う姿勢だけは、絶対に崩さない。

ナイトみたいに。

いや。

群れを守る狼、そのものだった。

「……二度と、ゆいへ近づくな」

その声は怒鳴っていない。

むしろ静かだった。

だからこそ恐ろしい。

綾乃の目から、ぽろりと涙が落ちる。

ようやく理解した。

勝てない。

本能でも。

血統でも。

肩書きでもない。

この人は。

魂ごと唯衣を愛している。

その時。

レオの身体が大きく揺れた。

「レオ!」

唯衣が慌てて支える。

熱い。

身体が異常に熱い。

呼吸も浅い。

耳もしっぽも震えている。

禁薬が本格的に身体を侵食し始めていた。

それでも。

レオは唯衣の肩へ顔を埋める。

まるで、唯一の救いを確かめるみたいに。

「……帰る」

掠れた声。

「ゆい、帰ろ」

その声だけが。

どうしようもなく弱かった。

まるで傷ついた狼が、たった一人だけに助けを求めているみたいに。

唯衣はそっとレオを抱きしめ返した。

「うん。帰ろう、レオ」

その言葉を聞いた瞬間。

レオの張り詰めていた肩が、ほんの少しだけ力を失った。

王狼ではなく。

統括でもなく。

誰もが恐れる天才でもなく。

ただ、唯衣の隣にいたい一人の男として。

レオは静かに目を閉じた。

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