レセプションパーティ 4 テラス
火照った身体を休めるため、二人はテラスへ移動した。
夜風が心地いい。
会場から漏れる音楽が遠くに聞こえ、ダンスフロアの熱気が嘘みたいだった。
唯衣はソファに腰を下ろし、小さく息を吐く。
「楽しかった……」
その声に、レオがわずかに口元を緩めた。
しばらくして戻ってきたレオの手にはグラスが二つ。
「ほら」
差し出されたのは、冷えた果実酒だった。
「ありがとう」
ひと口飲む。
甘く爽やかな香りが口いっぱいに広がり、乾いた喉を優しく潤していく。
思わず頬が緩んだ。
レオは隣に腰を下ろし、自分はシャンパンを口にする。
しばらく二人で夜景を眺めながらグラスを傾けた。
やがて唯衣が飲み終えると、レオは自然な仕草でグラスを受け取った。
「ありがとう」
「足りないだろ?」
そう言って差し出されたのは、レオが持っていたシャンパンだった。
「え?」
「飲め」
「レオのじゃないの?」
「最初から唯衣用」
当然のように言われて、唯衣は少し笑った。
夜風が気持ちいい。
レオはさっきから唯衣の髪を直したり、 肩にかかったストールを整えたり、 首元のネックレスを戻したり。
とにかく触る。
そのたびに唯衣が笑う。
「レオ」
「ん?」
「さっきから何回目?」
「何が」
「触るの」
レオは真顔。
「乱れてる」
「乱してるのレオだよ?」
「……」
反論できない。
唯衣が吹き出す。
その瞬間。
ぴく。
白銀の耳が頭の上に現れる。
さらに。
ふわり。
しっぽまで出る。
「出た」
「……」
「出てる」
「うるさい」
耳だけじゃない。
しっぽが正直すぎる。
機嫌よく左右に揺れている。
完全に隠しきれていない。
唯衣は笑いながらその耳をそっと撫でる。
レオは嫌そうな顔をする。
でも逃げない。
むしろ少しだけ頭を寄せる。
「ほら」
「……」
「また動いた」
耳がぴくり。
しっぽがぶん。
唯衣はもう我慢できずに笑い出した。
レオはため息を吐いて、
「唯衣が笑うからだ」
とだけ呟く。
でもその耳は、
まだご機嫌のままだった。
顔だけが不機嫌なレオに
そっと口にキスをおくる。
「……」
「機嫌なおった?」
「……別に」
「なおってるじゃん」
「なおってない」
しっぽ がブンッ ブンッ ブンッ振れている。
「すごい振れてるよ?」
「見なくていい」
「かわいい〜」
「かわいくない」
少しふてくされているレオにまた笑った。
しっぽ \ブンブンブンブン/




