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【完結】真壁レオは今日も重い 〜独占欲強めな白銀狼に溺愛されています〜  作者: ほしよみ
第一章

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夏 リゾート地へ4 プライベートラウンジ

空港に着く頃には、 涙はすっかり止まっていた。

でも車内では、 レオがずっと抱きしめてくれていた。

髪を撫でながら、 何度も優しくキスをくれる。

甘やかすみたいな、 安心させるみたいなキス。

そのたびに、 胸の奥がじんわり温かくなる。

空港では、 レオがプライベートラウンジを用意してくれていた。

搭乗時間まで、 ここでゆっくり過ごせるらしい。

人目も少なく、 静かな空間。

泣き顔を整えるには、 ちょうどよかった。


「……なんか、すごい」


思わず呟くと、 レオは当然みたいに答える。


「唯衣が落ち着ける方がいいだろ」


たぶん、 この人にとってはこれが普通なのだ。

ただ、 レオは完全に休みモードというわけではなかった。


「少しだけ仕事する」


そう言って別室へ入ると、 PCを開き、 プロジェクトの進捗確認を始める。

どうやら、 大きな問題もなく進行しているらしい。

第五統合のみんなが、 “わたしたちが心置きなく旅行を楽しめるように” と、 最終調整を頑張ってくれているそうだ。

なんだか、 すごく嬉しくなる。

そんな中。

別室から、 千景さんの明るい声が聞こえてきた。


『統括〜!』

『この頑張りのご褒美に、唯衣ちゃんの水着写真くださいね〜』


数秒の沈黙。

そして。


「無理」


レオの低い声。

即答。

そのまま、 通信が切断されたらしい。

しばらくして、 レオが少し不機嫌そうに別室から出てくる。


「どうしたの?」


私が聞くと、 レオは眉間に少し皺を寄せたまま答えた。


「……橘が変なこと言う」

「何?」

「唯衣の水着写真送れって」


その言葉に、 私は吹き出してしまった。


「ふふっ」

「千景さんらしい」


するとレオは、 少し不満そうに私を見た。


「笑い事じゃない」

「絶対見せない」


真顔。

たぶんこの人、 本気で国家機密くらいに思ってる。

レオがショルダーバッグから、 小さなカメラを取り出した。


「なにそれ?」

「最新機種」


手のひらサイズ。

ファンデーションのコンパクトくらいしかないのに、 高性能AI搭載の世界最小一眼レフらしい。

でも、 普通のカメラとは少し違う。

このカメラは、 景色だけを撮るわけじゃない。

匂い。 気温。 湿度。 空気の流れ。

さらには、 被写体の体温や心拍、 発汗まで読み取って、 “その瞬間の感情”ごと記録する。

だから再生すると、 ただ映像が映るんじゃない。

専用モニターへ投影した瞬間、 部屋そのものが、 撮影した場所へ変わるのだ。

潮風。 夏の熱。 笑い声。

その時、 そこにいた人の幸福感まで、 再現するみたいに。


「……すごい」


思わず呟くと、 レオは静かにカメラを撫でた。


「今回の旅行、残したいから」

「それ、売ってるの?」


唯衣がカメラを覗き込みながら聞く。

するとレオは、 少しだけ視線を逸らした。


「いや、試作品」

「え?」

「俺が顧問してる開発会社に作らせた」


さらっと言うから、 余計に意味が分からない。


「……なんで?」


レオは小さくカメラを撫でた。


「残したかった」

「唯衣との時間」


その言葉に、 唯衣は目を瞬かせる。


「普通の写真じゃ足りなかった」


レオは静かな声で続けた。


「笑った空気も」

「声も」

「温度も」

「その時、唯衣が幸せだったことも」

「全部残したかった」


窓の外、 飛行機がゆっくり滑走路を走っていく。


「だから作った」

「……世界で一番最初の一台」


「じゃ、いっぱいとって、おじいちゃんとおばあちゃんになったら2人で見返そうね」


唯衣は、 ふわっと笑いながらそう言った。

その瞬間。

レオ、 完全に止まった。


「……レオ?」


反応がなくて顔を覗き込むと、 レオはじっとこちらを見ている。

耳、 ぴーん。

しっぽ、 ぶわって膨らんでる。


レオは数秒固まったあと、 ゆっくり唯衣を抱き寄せた。


「……それ、反則」


低い声。

でも、 隠しきれないくらい嬉しそうだった。


「ちゃんと約束だからな」

「途中で逃げるなよ」

「逃げないよ?」


唯衣が笑うと、 レオは少しだけ目を細めた。


「ならいい」


そう言いながら、 額に小さくキスを落とす。

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