レオの発情2
仮眠をとっていたレオがリビングにやってきた。
レオはいつものレオに戻っている気がした。
甘くてくらくらするような匂いは消えて、 空気は落ち着いている。
目の色も、 夜の金色ではなく、いつもの 空みたいな薄い水色。
やっぱり、 ここ最近おかしいのは夜だけだ。
そんな唯衣の悩みも知らず、 今日のレオはやたら機嫌がいい。
本当に分かりやすいくらい。
しっぽなんて、 ほぼ常に揺れている。
はずかしがっているわたしを見つけると
「おはよ、唯衣。今日も大好きだよ」
おでこにおはようのキスをくれる。
「身体つらいでしょ?
俺、今日の仕事、リモートに切り替える。
唯衣も仕事休みな。連絡しといてやる。」
確かに身体がキツイ。
特に足が立たない。
リビングまではってここまで来た。
会社まで歩けるか心配だった。
幸い、急ぎの仕事はない。
「ありがとう。でもいいのかな。会社休んでズルくない?」
「全くズルくない。唯衣はこの1年有給を1回も使ってない。そっちの方が問題。有給消化してるって思えばいい。」
「じゃ、お言葉に甘えようかな。歩けないの。」
「唯衣、ベッドまでいく?それともここで少しねる?ブランケット取ってくるよ。」
「レオの側にいたいけど、仕事するでしょ?邪魔したくない。寝室で休む。」
「唯衣が邪魔なんて絶対思わないよ。ゆっくり休んで欲しいから、寝室まで運んであげる。昼に様子を見に行くから、安心して休みな。」
そう言って、優しくお姫様抱っこで抱き上げてくれて、寝室まで運んでくれた。
昼になると、身体が少し動くようになった。
レオが作ってくれたお昼ごはんを2人で食べて、リビングのソファでお茶をしている。
「レオ、もしかして発情してたりする?」
その瞬間。
レオの耳がぴくっと跳ねた。
動きが止まる。
そしてゆっくり、 ぎこちない動きで振り返った。
「……えっ」
数秒遅れて、 明らかに動揺した声。
「な、なんで?」
「何で聞くの?」
唯衣はソファに座ったまま、 首を傾げる。
「夜のレオ、いつもと違うし」
「なんだかすごく甘い匂いするから」
「もしかして発情なのかなって思って」
沈黙。
レオ、 完全停止。
たぶん今、 脳内で警報鳴ってる。
バレてる。
しかも、 フェロモンに当てられてることまで。
耳、 しゅん。
しっぽ、 停止。
「……ごめん」
小さく呟く声。
唯衣はきょとんと目を瞬かせた。
「え?なんで謝るの?」
するとレオは少しだけ視線を逸らす。
「……抑えてたつもりだった」
その言い方が、 ちょっとだけ悔しそうで、 でもどこか恥ずかしそうだった。




