プロジェクトチーム6
エレベーターの「チン」が、 やけに大きく響いた。
会議室の空気が、 一瞬でざわつく。
誰かの、 小声。
「……来た?」
「来たな」
「絶対来た」
唯衣だけ、 まだ状況が追いついてない。
涙を拭こうとして、 でも次から次へ溢れてくる。
その時。
会議室の扉が、 静かに開いた。
黒シャツ。
少し乱れた白銀の髪。
そして、 見慣れた低い声。
「……唯衣」
会議室、 ほぼ全員ニヤける。
でもレオ、 周囲なんか見えてない。
視線は最初から最後まで、 唯衣だけ。
たぶん、 この1ヶ月ずっと探してた顔。
唯衣は、 立ち上がろうとして、 うまく立てない。
「レオ……」
その声だけで、 レオの表情が少し崩れる。
プロジェクト成功。
大臣賞。
講師オファー。
そんなものより、 今のレオにとって大事なのは。
“ちゃんと笑ってる唯衣”。
レオはまっすぐ歩いてきて、 唯衣の前で止まる。
「聞いた」
静かな声。
「……頑張ったな」
唯衣、 もう限界。
涙ぼろぼろ。
「レオも……っ」
うまく喋れない。
レオ、 ほんの少し困った顔する。
たぶん本当は、 今すぐ抱きしめたい。
でも、 ここ会議室。
しかも唯衣のチーム打ち上げ前。
理性が最後の仕事してる。
すると空気読んだ千景先輩が、 わざとらしく立ち上がる。
「あー!! 急に喉乾いたなー!!」
別の人も続く。
「コンビニ行きます?」
「私もー!」
「5分くらい戻らなくていい感じ?」
会議室、 秒で解散。
レオ、 一瞬だけ呆れる。
「……お前ら」
でも誰も止まらない。
ドア閉まる直前、 千景が親指立てる。
「真壁統括、 今日は残業禁止。うちの子、宜しくお願いします。」
バタン。
静かになる。
やっと2人だけ。
唯衣、 涙目で笑う。
「……みんな優しいね」
レオ、 小さく息を吐く。
「……たぶん、 ずっとバレてた」
次の瞬間。
レオは、 もう我慢しなかった。
唯衣を強く抱き寄せる。
「っ……!」
肩に顔を埋めるレオ。
その声、 少し震えてる。
「……終わった」
長かった。
会えなかった。
触れられなかった。
我慢ばかりだった。
でも、 全部終わった。
レオは唯衣を抱きしめたまま、 小さく呟く。
「……もう、 離さない」




