プロジェクトチーム4
会場がどよめいた。
レオが軽く会釈をする。
会場が割れんばかり拍手と称賛をおくっている。
レオチームの発表のプロジェクト終了後の打ち上げ会場は、まるで祭りのあとに残った熱気みたいだった。
巨大スクリーンには結果発表。 「過去最高評価」 「大臣賞受賞」 「外部研究機関との共同提案予定」
そんな文字が並び、会場のあちこちで歓声が上がる。
その中心にいるのは、もちろんレオだった。
誰もが認めていた。 最初から成功は約束されていたプロジェクトだと。
レオがリーダーを務める時点で、 “失敗”という選択肢は、最初から存在しない。
けれど今回は違った。
異常だったのだ。
寝ている姿を誰も見ていない。 食事をしている場面すらほとんど記憶にない。 深夜二時の会議室にも、 早朝五時のオフィスにも、 いつもレオがいた。
まるで、 感情を燃料にして動く機械みたいに。
その結果、生まれた成果物は、 社内の誰も予想していなかったレベルにまで到達した。
「正直、鳥肌立った」 「これ、企業案件の域超えてる」 「研究機関レベルだろ」
そんな声が飛び交う。
そしてついには、 大臣賞受賞。
さらに、国内トップクラスの大学研究チームから、 特別講師として招待したいという話まで持ち上がった。
誰もがレオの才能に圧倒された。
「あの人、本当に天才なんだな……」
そう、改めて思い知らされたプロジェクトだった。
……しかし。
当の本人はというと。
「断る」
即答だった。
「いやいやいや!!統括なんでですか!?」 「大学側からですよ!?」 「統括の経歴に一生残りますよ!?」
周囲がどれだけ説得しても、 レオは眉間に皺を寄せたまま。
「これ以上スケジュール増やしたら、彼女との時間減るだろ」
真顔。
打ち上げ会場が静まり返ったあと、 数秒遅れて、盛大なため息が漏れた。
「あーーーーーー……出た」 「通常運転だ」 「はいはい、唯衣さんファーストね」 「世界より彼女」
プロジェクトチームのメンバーたちは、 呆れ半分、安心半分で笑う。
実際、 この1ヶ月のレオは危なかった。
仕事量がおかしい。 集中力もおかしい。 成果もおかしい。
でも一番おかしかったのは、 唯衣とまともに会えていない状態で、 感情の逃げ場を全部仕事に変えていたことだ。
だから皆、内心ほっとしていた。
やっと終わった。
やっと唯衣さんが戻ってくる。
これで統括が少しは人間らしい生活に戻る、と。
「統括、頼むからちゃんと休んでください」 「次の案件受ける前に有給消化してください」
そんな言葉が飛び交う中、 レオはスマホを見ていた。




