プロジェクトチーム3
プロジェクトが始動してから、
レオは、異常なくらい仕事量を増やした。
会えない時間を埋めるみたいに。
深夜の第五統合。
誰もいないフロア。
静かなオフィス。
その中で、レオだけがパソコンの光を浴びていた。
大量の資料。
複数モニター。
絶え間なく動くデータ。
だが、
視界の端には、ずっと同じ画面が残っている。
唯衣とのLINE。
既読はついている。
でも返信は止まったまま。
『今日も頑張れ』
『ちゃんと寝ろ』
『会いたい』
本当は送りたい言葉が山ほどあった。
でも。
唯衣が頑張っているのを知ってる。
だから邪魔したくない。
レオは静かにスマホを伏せた。
時計を見る。
23:48。
「……今日もまだ残ってるな」
低く呟く。
唯衣の退勤ログは、まだ動いていなかった。
第五統合の若手社員たちは知らない。
自分たちが最近かなり働きやすくなった理由が、“統括の恋愛”だということを。
大型プロジェクト始動前。
レオは働き方改革を強行した。
残業者へのホテル支給。
タクシー券。
専用アプリによる当日申請。
名札IDと出退勤ログ連動。
退勤後、自動で通知が飛ぶ。
『本日の帰宅手段を選択してください』
タクシー。
宿泊。
女子社員には女性専用ホテルが優先手配される。
アメニティフル完備。
セキュリティ強化済み。
しかも人気ホテル。
第五統合が部屋を買い上げた。
さらに。
残業者には“翌日昼出勤強制システム”まで組み込まれた。
無理に朝出勤しようとすると、
エラー。
ゲートが開かない。
『健康管理システムにより入館制限中です』
「統括、本気すぎる……」
社員たちは震えた。
だがレオにとっては当然だった。
睡眠不足で判断力が落ちる。
終電帰宅は危険。
女性社員の深夜移動リスク。
全部、効率が悪い。
だから改善した。
……もちろん。
最初の発端は。
「唯衣を無理させたくない」
それだけだった。
でも結果的に。
第五統合は、異常なほど福利厚生が強い部署へ進化していた。
レオはキーボードを叩きながら、静かに目を閉じる。
会いたい。
抱きしめたい。
声が聞きたい。
でも今は。
同じくらい。
唯衣が頑張ってることが、誇らしかった。




