プロジェクトチーム2
「体調、大丈夫か?」
深夜、第五統合の廊下。
壁にもたれたレオが、静かに唯衣を見る。
「あんまり寝れてないだろ」
唯衣は少し笑った。
「レオもでしょ?」
お互い様だ。
目の下には薄く疲れが見える。
それでも。
会えたことが嬉しくて、自然と笑ってしまう。
レオは無言で壁から離れると、自販機へ向かった。
数秒後。
温かいカフェオレを片手に戻ってくる。
「ほら」
「ありがとう」
缶の熱が冷えた指に心地いい。
静かな廊下。
遠くで誰かの端末音が聞こえる。
そのくらいしか音がない。
つかの間の、二人の時間。
唯衣は缶を両手で包み込みながら思った。
……このカフェオレを飲み切るまで。
一緒にいたい。
その隣でレオは思っていた。
このコーヒー飲む間くらい、唯衣と一緒にいて何が悪い。
むしろ足りない。
全然足りない。
「……あと一週間だな」
レオがぽつりと呟く。
「あー、わたし、……」
唯衣は小さく空を見上げた。
「わたしね」
「ん?」
「ずっと、会いたいって思ってた」
その言葉だけで、レオの耳がぴくりと出てきた。
「でも、背負ってるレオの邪魔したくなかった」
静かな声。
優しい声。
レオは少しだけ目を伏せた。
「……オレも」
低く返す。
「会いたいって、24時間思ってる」
即答だった。
唯衣が吹き出す。
「でも」
レオは真っ直ぐ唯衣を見る。
「選抜に選ばれて、成長してくお前……かっこいいから」
その言葉に、唯衣の目が少し丸くなる。
「オレが足引っ張りたくない」
冬の空気が静かに流れる。
しばらく沈黙。
でも苦しくない。
唯衣はカフェオレをひと口飲んでから、小さく笑った。
「わたしね」
「ん?」
「今、レオメーター0だよ」
「……は?」
「充電切れそう」
レオは数秒固まったあと、片手で顔を覆った。
しっぽが嬉しいって伝えてくれる。
「オレ、二週間前から危険点滅だけど」
「ふふっ」
「笑い事じゃない」
本気だった。
限界だった。
唯衣不足。
深刻。
「あと一週間」
レオはそっと唯衣の頭へ触れる。
「終わったら、いっぱい甘やかす」
唯衣は少し照れながら笑った。
「……うん、すぐ迎えにきて⋯」
その返事だけで。
あと一週間くらいなら、生き延びられる気がした。




