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白石唯衣1
入社して、一ヶ月が経った。
最初は、何をどう動けばいいのか分からなかった。
電話を取るだけで緊張したし、
会議資料の保存場所すら覚えられず、毎日のように端末の前で固まっていた。
けれど今は違う。
少しずつ、出来ることが増えてきた。
資料整理。
簡単な演出データの修正。
会議室の手配。
現場同行の準備。
まだ補助ばかりではあるけれど、
“役に立てている”感覚が、ちゃんとあった。
それはきっと、教育係である橘千景のおかげだ。
「唯衣ちゃん、お昼行きなよ」
「ここのレイアウト修正、すごい見やすい!助かった〜」
「今日はこれで終業ね。お疲れ様〜」
明るくて、よく周りを見ていて。
忙しいはずなのに、誰かが困っていると必ず気付く。
空間演出課には色んな人がいるけれど、
千景さんの周りだけは空気が柔らかかった。
私も、いつか、千景さんみたいな先輩になりたい。そう思った。




