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【完結】真壁レオは今日も重い 〜独占欲強めな白銀狼に溺愛されています〜  作者: ほしよみ
最終章

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175/178

これから1

「れぉ……?」

唯衣がゆっくり目を開いた。

その声を聞いた瞬間。

レオの肩から力が抜ける。

紅葉と小雪も安堵したように顔を見合わせた。

「唯衣様!」

「目が覚められましたか!」

二人は嬉しそうに駆け寄る。

「各所へご報告して参ります」

紅葉が一礼した。

「若様、あとはお願いします」

小雪もぺこりと頭を下げる。

そして二人は慌ただしく部屋を出て行った。


静かになった寝室。

残されたのは二人だけだった。

レオが唯衣の頬を撫でる。

「体調はどうだ?」

「うーん……」

唯衣は少し考えた。

「まだちょっと気持ち悪い……」

「そうか」

レオは優しく髪を撫でる。

「何か飲めそうか?」

「うーん……」

しばらく考えて。

「レモネード?」

「レモネードな」

レオは小さく頷いた。


サイドテーブルの呼び鈴を鳴らす。

すぐに扉を叩く音がした。

「入れ」

若いメイドは一礼して控えの姿勢をとる。

「お呼びでしょうか」

「レモネードを頼む」

「かしこまりました」

若いメイドは丁寧に一礼をして

部屋を後にした。


寝室には再び静寂が戻った。


レオは唯衣の額へそっとキスを落とした。

触れるだけの優しいキス。

それから。

唯衣の手を握る。

「唯衣」

声が少し震えていた。

「ありがとう」

「え?」

唯衣が瞬きをする。

レオは一度だけ深呼吸をした。

そして

大切な宝物を告げるように。

「俺たちの子供が」

「唯衣のお腹にいる」

唯衣の目が大きく開く。

レオは少し笑った。

だけど

その目は少し赤かった。

「しかもな」

「双子だ」


数秒。


唯衣は瞬きもしなかった。

固まったまま。

言葉も出ない。

レオはそんな唯衣を見つめながら。

「俺も同じ顔をした」

小さくそう呟いた。


レオは唯衣のおでこへ自分のおでこを

そっとくっつけた。

「もうじき泰山のじじぃが来る」

「しっかり診てもらおう」

優しくそう伝える。

唯衣は何度か瞬きをした。

そして

じわりと瞳が潤む。

「レオ……どうしよう」

声が震えていた。

「すごく嬉しい……」

ぽろり。

涙が頬を伝う。

「うわぁ……」

唯衣は両手で口元を押さえた。

「わたし、お母さんだ……」

また涙が零れる。

嬉しくて。

幸せで。

信じられなくて。

レオはそんな唯衣を抱き寄せた。

壊れ物を扱うように。

大切な宝物を抱きしめるように。

そして

少しだけ胸を張る。

「俺は父親だ」

唯衣が泣きながら笑う。

レオも笑った。

「父親か」

「父親だね」

「お父さんだ」

「お父さんだね」

二人で顔を見合わせる。

そして

泣きながら笑った。


そのあとすぐにレモネードが届けられた。

唯衣はゆっくりと口をつける。

冷たくて少し酸っぱい。

不思議と身体に染み渡るようだった。

「美味しい……」

小さく呟くと、

レオがどこか安心したように笑った。

「それなら良かった」

レモネードを飲み終える頃には、

唯衣の顔色も少しだけ戻っていた。

二人で寄り添いながら

静かな時間を過ごしていると、


コンコン。


扉を叩く音が響く。

「若様」

「泰山先生と雫様がお見えです」

紅葉の声だった。

「入れ」

レオが答える。

扉が開き、

泰山と雫が部屋へ入ってきた。

「さて」

泰山が顎髭を撫でる。

「改めて若奥様を診させてもらうかの」

その後ろでは、

雫がまだ少し青い顔をしていた。


「泰山先生、雫さん、よろしくお願いします」

唯衣がぺこりと頭を下げた。

「じじぃ、雫」

「よろしく頼む」

レオも続けて頭を下げる。

その瞬間。

泰山と雫が同時に目を見開いた。

そして

二人で顔を見合わせる。


「……」


「……」


何か言いたそうだ。

ものすごく言いたそうだ。

レオは眉をひそめた。


「何が言いたいか分かっている」

ふてくされたように呟く。

「若様が頭を下げたのぉ」

「若様が頭を下げましたね」

案の定だった。

「うるさい」

レオが即答する。

部屋に小さな笑いが広がった。

張り詰めていた空気が和らぐ。

唯衣も思わず笑ってしまった。

「ふぉっふぉっふぉっ」

泰山は上機嫌のまま唯衣へ向き直る。


そして

ゆっくりと手のひらを唯衣へ向けた。

目を閉じる。

まるで何かを感じ取るように。

静かな時間が流れた。

「なるほどの」

泰山が小さく頷く。

その表情には納得の色が浮かんでいた。

「長を呼んできてくれ」

泰山が告げる。

「かしこまりました」

小雪がすぐに一礼した。

そして足早に部屋を後にする。

残された者たちは、

泰山の次の言葉を静かに待っていた。

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