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【完結】真壁レオは今日も重い 〜独占欲強めな白銀狼に溺愛されています〜  作者: ほしよみ
最終章

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唯衣倒れる5

応接の間。

玄狼と泰山が向かい合っている。

その後ろには景の姿。

玄狼の前にはアサイー。

泰山の前にはタピオカミルクティー。

いつもの光景だ。

「詳しくは診てみないと何とも言えませんな」

泰山がタピオカを吸いながら告げる。

「うむ」

玄狼は頷く。

だが、口元が緩んでいる。

威厳を保とうとしているが、

隠せていない。

「はぁ……」

景が深いため息を吐いた。

「長。顔に出ております」

「なに? このわしが何だと言うのだ」

「素直に喜ばれた方がよろしいかと」

景は容赦がない。

「このわしがニヤけておるわけ……」

言いかけたところで、

玄狼の目尻が下がった。

口元も緩む。

完全にデレデレだ。

「……なかろう」

説得力は皆無である。

「長」

「……」

「気持ち悪うございます」

「景」

「はい」

「後で表へ出よ」

「お断りします」

即答だった。

泰山が腹を抱えて笑う。

「ふぉっふぉっふぉっ」

「景よ、曾孫が二人じゃぞ」

「仕方あるまい」

「曾孫……」

玄狼が呟く。

そしてアサイーを一口。

また口元が緩んだ。

「長」

「だから気持ち悪うございます」

「景、お前、許してやれ」

泰山がつっこむ。

応接間に笑いが広がった。

景が一礼する。

「泰山先生」

「お風呂の準備が整っております」

「本日の入浴剤は薔薇でございます」

「ほう! それは良いのぉ」

泰山の目が輝く。

「風呂上がりは、

フルーツ牛乳でございます」

「さすが景じゃ! 気が利く!」

泰山は上機嫌で立ち上がった。

数時間前までヘリに

放り込まれていたとは思えない回復力だ。

「では、風呂へ行ってくる」

杖を鳴らして歩き出す足取りは、妙に軽い。

「現金なじじぃじゃ」

「長にだけは言われたくありません」

今日も景は容赦がない。

   *

一方、寝室。

こちらにもデレデレな狼がいる。

いや、

紅葉と小雪を入れれば三人だ。

空気はとろけるように緩んでいた。

「唯衣、ありがとうな」

眠る唯衣の手を握り、レオが呟く。

「唯衣に似ていたら俺、マジで離れられない」

「……あっ」

「もちろん唯衣が一番なのは変わらない!」

誰への言い訳か。

「あー……父親か」

「実感ない」

レオは天井を見上げた。

紅葉が目元を押さえる。

「若様と唯衣様のお子様です……」

「やばいです……」

小雪も頷く。

「絶対可愛いです」

「間違いありません」

三人とも仕事どころではない。

そんな時だった。


コンコンコン。


静かなノック。

それだけで、

部屋の空気が変わった。

扉が開く。

そこに立っていたのは桐生巴。

真壁家メイド長。

使用人の頂点。

人格者。

そして──本当に怒らせると一番怖い人物。


「若様」


穏やかな声。

だが、レオの背筋が伸びた。


紅葉と小雪は反射的に姿勢を正す。

巴はゆっくりと部屋を見渡した。


「皆さま」


にこり。

優しく微笑む。


「お喜びになるお気持ちはよく分かります」

「ですが」

その一言で、全員が息を呑んだ。


「唯衣様は安静が必要でございます」

「まずはお静かにお願いいたします」


「「申し訳ありませんでした」」


メイド二人の声が綺麗に揃った。

巴は満足そうに頷く。


「若様、この度はおめでとうございます」

「皆で支えて参りますので、

どうぞ宜しくお願いします」


巴は眠る唯衣へ視線を向けた。

その表情は、とても優しかった。


「本当に……」

「良かったですね」


心からの祝福だった。

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