真壁レオ13
気付けば抱きしめていた。
温かい。
柔らかい。
甘い匂いがする。
腕の中に、本当に唯衣がいる。
夢じゃない。
「……唯衣」
名前を呼ぶ声が、自分でも驚くほど甘かった。
唯衣は少し照れながら、レオの胸元へ顔を寄せる。
「なに?」
「もう一回、名前呼んで」
「レオ」
即答だった。
心臓が跳ねる。
「……もう一回」
「レオ」
駄目だ。
幸せすぎる。
「俺、死ねる」
「死なないで」
即座に返される。
「ほんと、幸せすぎて死ねる」
唯衣は少し眉を下げた。
「わたしを置いていくの?」
その言葉に、レオは勢いよく顔を上げる。
「いや、それは駄目!」
真剣だった。
「無理! オレが死んで、唯衣が他のやつと一緒になるとか絶対駄目!」
唯衣が吹き出す。
「ふふ……」
でも次に返した声は、とても優しかった。
「わたしも、レオと一緒にいたい」
胸がいっぱいになる。
抱きしめる腕に、自然と力が入った。
「……唯衣、好き」
「ゆい、好き」
自分でも何を言ってるかわからない。
でも唯衣は嬉しそうに笑ってくれる。
「付き合ってくれてありがとう」
レオは真っ直ぐ彼女を見つめた。
「幸せにする。全力で」
第五統合統括管理官としてではなく。
ただ、一人の男として。
唯衣は小さく頷いた。
「うん。ありがとう、レオ」
視線が重なる。
近い。
吐息が触れる。
自然と、唇が重なった。
柔らかい。
温かい。
唯衣が少しだけ目を丸くして、それから照れたように笑う。
……かわいい。
もう一回したい。
そう思った瞬間には、もうレオは再び口づけていた。
今度はさっきより、少しだけ長く。




