新しい生活1
実のところ、
あの夜の告白以来、
わたしの生活拠点は
真壁家へ移ることになった。
心配性のレオが
「一人で生活させるわけにはいかない」
「慣れる様子を確認してからじゃない
と行かない」
と言い出したからだ。
真壁家では、
狐族の九条紅葉さんと、
白兎族の月城小雪さんが
専属メイドとして付いてくれた。
二人とも満面の笑みで
「勝ち取れて夢みたいです!」
と語ってくれたが、現実は甘くない。
朝起こしてくれるのも、
食事を運んでくれるのも、
庭の散歩も、
レオが全部やってしまうからだ。
紅葉と小雪が涙目で
メイド長に訴えていたらしい。
「若様が私たちの仕事を奪うんです……」
「このままでは、ただの置物です……」
「唯衣様と目が合っただけで、
若様が威嚇してくるんですぅ……!」
けれど返ってきた言葉は
「若様の蜜月です」
という一言だけだったそうだ。
それでも、
仕事が一段落したレオと
二人で庭を散歩したり、
ソファで寄り添って本を読んだり。
何でもない時間を大切に過ごした。
レオは隙あらばわたしをベッドに押し倒し、
長いしっぽで全身を絡め取って
ドロドロにしてしまう。
いつの間にか
紅葉さん、小雪さんとレオの三人が結託し、
過激な下着まで用意されている
ハメになっていた。
「若様、この方が唯衣様の魅力が
120%引き出せます!」
「いいえ、唯衣様の魅力は、
見えるか見えないかのギリギリ透け感です」
「よし、俺が仕事をする1時間のみ、
唯衣との接触を許す」
「若様〜!ありがとうございます!」
……私が毎夜抱き潰されて寝ている間に、
そんな会話がされていたとは
全く気づかなかった。
赴任前日、
ようやくレオが景を呼んだ。
「俺がいない間、
唯衣を絶対に一人にするな。
虫一匹、近付けるな」
景は静かに一礼する。
「承知いたしました。
命に代えても、若奥様をお守りいたします」
続く紅葉と小雪への視線に、
レオは短く、
けれど強い信頼を込めた。
「……唯衣を頼む」
二人は姿勢を正し、
力強く頭を下げた。
その姿を見て、
レオは少しだけ安心したように笑った。




