真壁家に挨拶に行く3
都内から少し離れた場所に、真壁家はあった。
高い塀に囲まれた広大な敷地。
門をくぐると、綺麗に手入れされた庭が広がっている。
大切に育てられた木々。
四季折々の花々。
そして、その奥に建つのは洋館のような大きな屋敷だった。
まるで絵本に出てくるお城のようで、唯衣は思わず見上げる。
「すごい……」
小さく呟いた瞬間だった。
「お帰りなさいませ、レオ様」
「ようこそ、唯衣様」
車を降りた途端、屋敷の者たちが一斉に頭を下げた。
温かく迎えてくれているのが分かる。
けれど。
どこか皆の顔に疲労が見えた。
唯衣は慌てて頭を下げる。
「わたしの訪問で皆さまにご迷惑をおかけしてしまったみたいで……」
「申し訳ありません」
「早めにお暇しますので、どうぞお気遣いなく」
その瞬間だった。
「いえいえ!」
「唯衣様!」
「心待ちにしておりました!」
「どうかごゆっくりお過ごしください!」
「若様!」
「どうか唯衣様をお止めください!」
口々に声が上がる。
あまりの勢いに唯衣は目を瞬いた。
「……レオ?」
助けを求めるように隣を見る。
レオは苦笑しながら肩を竦めた。
「歓迎されてるんだよ」
「大丈夫」
そう言って自然に唯衣の手を取る。
「行こう」
エスコートされるまま屋敷へ向かう。
その背中を見送りながら。
屋敷の者たちは心の中で強く願った。
どうか
どうか今日はお帰りにならないでください、と。
長がどれほど今日を楽しみにしていたか。
屋敷の誰もが知っている。
そして。
自分たちもまた、唯衣様を迎えられる日を楽しみにしていた。




