それぞれの戦い AfterTime4
夕方
寝室の窓から差し込む光は柔らかかった。
冬の夕陽。
けれど
どこか少しだけ違う。
数日前まで感じていた
刺すような冷たさがない。
季節は少しずつ進んでいるのだろう。
唯衣はゆっくりと目を覚ました。
頭を優しく撫でていた手を掴む。
「レオ……側にいてくれたの?」
まだ眠たげな声。
レオは小さく微笑んだ。
「俺が側にいたい」
「それだけ」
「おはよ、唯衣」
いつもの優しいキスが降ってくる。
唯衣は目を細めた。
温かい。
生きている。
そこにいる。
唯衣はレオの頬へ触れた。
首筋へ触れる。
肩へ触れる。
何度も確かめるように。
レオはされるがままになっていた。
「そんなに確認しなくても消えない」
少しだけ困ったように笑う。
その顔を見て。
唯衣の胸がぎゅっと締め付けられた。
よかった。
本当によかった。
ようやく心の底からそう思えた。
「すごく身体が軽い」
レオは自分の身体を確かめるように動かす。
「というか……何か作り変わったみたいな感覚がする」
ベッドのヘッドボードへ背を預けながら腕を回した。
その時だった。
唯衣の視線が止まる。
「……え?」
レオの後ろ。
白銀の尻尾。
そして。
もう一本。
「え?」
唯衣は瞬きを繰り返した。
「レオ」
「しっぽ」
「増えてる」
レオが振り返る。
「あっ、本当だ」
あまりにもあっさりした反応だった。
「どこか違う気がしてたんだ」
「あと…覇気も増えてる感じがする」
ふわりと二本の尻尾が揺れる。
レオと目が合った。
そして。
「よかったな、唯衣」
口元が悪戯っぽく緩む。
「これからもっと尻尾でいじめてあげられる」
「レオのバカ!」
唯衣は一瞬で真っ赤になった。
レオが声を上げて笑う。
その笑い声が。
どうしようもなく嬉しかった。
自信満々で勝手なことを言う。
でも。
それが嬉しい。
戻ってきた。
いつものレオだ。
「景が家に帰った」
「夕飯は用意してあるって」
「食うだろ?」
レオが聞く。
そして少しだけ目を細めた。
「それとも久しぶりに俺を喰う?」
「もう!」
唯衣はレオの胸へ顔を埋める。
そのままぎゅっと抱きついた。
鼓動が聞こえる。
温もりがある。
レオがいる。
それだけで幸せだった。
「レオ、おかえり」
レオも優しく抱きしめ返す。
「ただいま」
少しだけ間を置いて。
「愛する人」




