それぞれの戦い 真壁レオ2
朝方。
薬の力で、ようやく眠りについた。
目を覚ます。
静かだった。
妙に静かだった。
胸がざわつく。
嫌な予感がした。
唯衣の気配がない。
心臓が大きく跳ねた。
まさか
出ていった?
やっぱり
分かってなかった?
喉が締まる。
息が苦しい。
身体の痛みとは違う。
もっと嫌な痛みだった。
慌てて起き上がろうとして、
ベッドから転げ落ちる。
その物音を聞きつけたのだろう。
景が部屋へ入ってきた。
「若、お目覚めですか?」
「おや。どうなさいました?」
レオは床から顔を上げる。
「お前……」
掠れた声だった。
「唯衣を知らないか?」
景は一瞬だけ目を瞬いた。
そして。
「唯衣様ならご出勤されましたが」
レオは固まった。
「……は?」
「なんで行かせる!」
勢いよく立ち上がる。
「もう帰ってこなかったらどうする!」
「お前、ほんと何のためにいる!」
罵倒と罵声が飛ぶ。
けれど景は慣れたものだった。
深いため息をひとつ吐く。
「若」
「若も会社へ行けば会えるのでは?」
「……はっ?」
「まだお身体は動くのでしょう?」
「寝たきりの病人というわけでも
ありますまい」
景は涼しい顔で続けた。
「支度をなさって、
お迎えに行かれたらよろしいかと」
レオは数秒沈黙した。
そして。
「そ、そうだ!」
「そうだな!」
急いで支度して会社に向かった。
「念のため抑制剤を飲んでいって下さい」
「あまり遅くならない様お帰りをお待ちしております」
景が淡々と言った。
迎えに行き、 唯衣と二人で帰ってきた。
少しだけ朝倉とも話ができた。
朝倉は厳しいと言う。
俺の予想でもギリギリだ。
唯衣の手を握る。
少しだけ強く。
吐き気は続いている。
身体が二つに裂けそうだった。
それでも
この温もりだけは離したくない。
俺
絶対にこの手を手放すなよ。




