それぞれの戦い 白石唯衣5
タイムリミットまであと二日
その日の夜。
レオが起きている時間に合わせて、
急遽話し合いが行われることになった。
リビングへ集まったのは、
泰山先生。
雫さん。
景さん。
そして、レオとわたし。
空気が重い。
なんとなく分かってしまう。
解毒薬開発が、
思うようには進んでいないのだと。
景さんが静かに口を開いた。
「念のための確認です」
「最悪の場合を想定し、
若様の身体への負担をさらに減らします」
最悪。
その言葉に胸がざわつく。
けれど誰も取り乱さない。
レオも静かに聞いていた。
泰山先生が説明を続ける。
「今後は栄養剤と抑制剤を点滴へ切り替える」
「場合によっては薬で眠って頂く」
「睡眠時間を可能な限り延ばし、
体力と気力を温存する方針じゃ」
「起きておる時間が長いほど、本能と魂の衝突で身体が削られるからのぉ」
レオが小さく息を吐く。
「……つまり、寝てろってことか」
「そういうことじゃ」
泰山先生はあっさり頷いた。
少しだけ空気が緩む。
わたしはレオの手を握った。
大丈夫。
きっと間に合う。
そう信じている。
レオも同じ気持ちなのだろう。
焦った様子はなかった。
景さんが静かに続ける。
「なお、本家への報告は通常通り行います」
「解毒薬の進捗については伏せ、
“痛みの緩和と体力維持のため”という形に」
本家に余計な刺激を与えないためだ。
きっと
みんな、それぞれ戦っている。
朝倉さんたちも。
景さんも。
泰山先生も。
だから
わたしも不安に負けたくない。
タイムリミットまで、あと二日。




