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【完結】真壁レオは今日も重い 〜独占欲強めな白銀狼に溺愛されています〜  作者: ほしよみ
第一章

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それぞれの戦い 白石唯衣1

タイムリミットまで残り四日


レオが言っていた。

偽番薬による脳への定着は約一週間。

あれから三日。

残された時間は、あと四日だ。

その四日のために。

みんなが自分にできることをしている。

第五統合生活支援事業部では

解毒薬開発が進められている。

朝倉さん

千景さん

プロジェクトチームのみなさん

きっと寝る間も惜しんで働いているのだろう。

レオの家からも専門家の方々が応援に来てくれている。

わたしも何かしたい

そう思うのに…

みんなみたいに専門的なことは何もできない。


そんな時だった。

景さんが誰がを連れて帰ってきた。

「はじめまして、若様の愛しき方」

穏やかな声と優しそうな目。

白髪の男性。

纏う空気が少し先生みたいだ。

「はじめまして」

「白石唯衣です」

男性は目を細めた。

「わしは久遠泰山」

「若の主治医を長年務めておる」

ふぉふぉふぉ、と楽しそうに笑う。

「こりゃあ綺麗なお嬢さんだ」

「若はさすがお目が高い」

思わず頬が熱くなった。

泰山先生はさらに笑う。

「心配せんでもよい」

「若は強い」

「しっかり支えてやりなさい」

「愛は何よりの力じゃからな」

そう言って。

大きな手で優しく頭を撫でてくれた。

不思議と少しだけ安心する。

「泰山先生、お願いいたします」

景さんが頭を下げる。

先生は頷き、そのまま寝室へ向かった。

わたしも後を追う。

ベッドの上

レオは深く眠っていた。

銀色の耳。

白銀の尻尾。

そして閉じた瞳。

あの日からずっと苦しみ続けている。

泰山先生はレオを見るなり、目を細めた。

「おやおや」

景さんが顔を上げる。

「どうなさいましたか」

「獣神化しておるな」

その言葉に景さんが目を見開いた。

「獣神化ですか!?」

「文献でしか見たことのない、あの?」

「しかり」

泰山先生は頷く。

「よほど抗っておるのじゃろう」

「本能と魂がぶつかり合い、身体が限界を超えて力を引き出しておる」

難しい話だった。

けれど。

普通ではないことだけは分かる。

わたしは恐る恐る尋ねた。

「獣神化って……何ですか?」

泰山先生はふぉふぉふぉと笑った。

「簡単に言えば先祖返りじゃな」

「先祖返り?」

「うむ」

先生はレオの額へそっと手を置いた。

「獣人の祖先は今よりもっと神に近い存在だった」

「じゃが長い年月をかけて血は薄れた」

「それでも極限状態になると、稀に先祖の力を呼び起こす者がおる」

「真壁家は、その代表格じゃ」

わたしは眠るレオを見る。

苦しそうだ。

けれど。

それだけ必死に戦っているのだと分かった。

泰山先生は診察を続けながら静かに言った。

「若は今、本能と魂が喧嘩をしておる」

わたしは息を呑む。

「本能は偽番薬によって、

別の女性を番だと思い込もうとしておる」

「じゃが」

「魂は拒絶しておる」

部屋が静かになる。

「だから苦しい」

「だから眠っておる間も戦っておる」

先生の言葉が胸へ刺さる。

レオは今も一人で戦っている。

そっと

わたしはレオの手を握った。

温かい

少しだけ震えている。

「泰山先生」

「うむ?」

「わたしにできることはありますか?」

先生は少しだけ目を細めた。

そして

優しく笑う。

「もうやっておるよ」

「え?」

「側におることじゃ」

その言葉に。

胸の奥が少しだけ熱くなった。

レオの手を握る。

大丈夫

あと四日。

わたしも逃げない。

そう心に決めた。

本編の裏側や、レオと唯衣の甘い日常をXで更新中です。

小説の合間の息抜きにどうぞ。

X「真壁レオは今日も重い」

@reo_yui_archive

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