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【完結】真壁レオは今日も重い 〜独占欲強めな白銀狼に溺愛されています〜  作者: ほしよみ
第一章

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それぞれの戦い 榊 景3

タイムリミットまで残り二日


事態が動いた。

順調に進んでいた解毒薬開発に問題が発生した。

治験失敗。

その報告が景のもとへ届く。

思わず足が止まりそうになる。

だが、すぐに思考を切り替えた。

急いで第五統合へ向かわなければならない。

その前に

唯衣様のところへ向かうべきか。

それとも長のもとへ。

景は深く息を吐いた。

落ち着け。

焦っても状況は変わらない。

まずは長へ報告だ。

おそらく別経路でも情報は届くだろう。

だが、自分の口で伝えるべきだ。

そして第五へ向かう。

現状を把握する。

その後で唯衣様のもとへ行こう。

唯衣様へ伝えるのは、確定した情報だけでいい。

不確かな情報で不安を与えるべきではない。

景は即座に伝令を飛ばした。

そして翼を広げる。

向かう先は第五統合生活支援事業部。

夜空を切り裂きながら飛ぶ。

嫌な予感が胸を離れなかった。


第五へ到着した景は、

そのまま研究室へ向かった。

扉を開く。

室内には異様な空気が漂っていた。

誰も話さない。

誰も動かない。

重苦しい沈黙だけが広がっている。

その中心で。

朝倉環が何かを呟いていた。

「違う……」

「違う……」

資料を見つめながら、ぶつぶつと独り言を繰り返している。

そして。

真壁家から派遣された技術者たちは、

その言葉を逃すまいと耳を澄ませていた。

朝倉は資料を睨み続けていた。

研究室の誰もが諦めかけている。

だが。

彼だけは違った。

「統括代理……」

誰かが声をかける。

返事はない。

朝倉はモニターから目を離さなかった。

景はその姿を見つめる。

眠っていないのだろう。

目の下には濃い隈ができている。

髪も乱れていた。

だが。

その瞳だけは死んでいなかった。

まるで。

若が研究に没頭している時と同じ目だった。

「違う」

朝倉が呟く。

研究室の空気が張り詰める。

「統括の理論は間違ってない」

誰も反論しない。

できない。

真壁レオを知る者ほど、

その言葉を否定できなかった。

「なら問題は別だ」

朝倉が立ち上がる。

景は思わず目を細めた。

この男。

まだ折れていない。


「問題は薬じゃない」

「投与方法だ」

静まり返る研究室に、朝倉の声が響いた。

「まだ終わってない」

その言葉を聞いた瞬間だった。

部屋の空気が変わる。

止まりかけていた研究室が再び動き出した。

誰かが資料を開く。

誰かがモニターへ向かう。

誰かが新しい仮説を書き始める。

残された時間は、一日と八時間。

それでも。

止まりかけていた時間は、再び動き始めた。

景は静かに研究室を見渡した。

誰一人として諦めていない。

疲労は限界のはずだ。

それでも全員の瞳に、

まだ光が残っていた。

景は小さく息を吐く。


若。

貴方の部下たちは、

本当にすごいですね。

これが

貴方が築いてきた世界なのですね。

胸の奥が少しだけ熱くなる。

だが

まだ感傷に浸っている場合ではない。

景は表情を引き締めた。

まずは長へ報告する。

そして若様のもとへ。

唯衣様のもとへ。

それぞれが戦っている。

ならば。

自分も自分の戦いを続けよう。

本編の裏側や、レオと唯衣の甘い日常をXで更新中です。

小説の合間の息抜きにどうぞ。

X「真壁レオは今日も重い」

@reo_yui_archive

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