表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盗賊は聖女に愛される  作者: ton
3章
52/53

見知らぬ旅路


「…とりあえず下の荷置き場に隠れるか。」


俺はシルヴィを抱えたまま階段を下りようとするがフェイはその場を動かない。


「おい、早く……!」

「いやーザイラス、隠れたって無駄だって。

むしろこの船、俺達降ろしたら普通の港には帰らないと思うぜ。

客乗せてない客船なんて疑われるに決まってるし、せいぜい向かうのは根城になってる名もない島あたりだろうな。そこで見つかったら逃げ場もなくなる。」

「じゃあどうすればっ……!!!」

「まぁ、出てくしかないってやつ?」

「はぁ?!」


頭を掻きながら、フェイは貴重品をスカートの中にくくりつけ始めた。


「とりあえず陸につけばシルヴィちゃんの魔法もあるし、後から逃げようと思えば逃げられる。ここは大人しく捕まっておくのが無難だな。」

「…マジか。」

「マジマジ。」


たまに大胆な案を敢行するあたりがフェイらしい。

…まぁ、その感が外れた試しもないから、従わないつもりもないんだけど。


「シルヴィ、手、握っててくれ。いざというときには俺が守る。」

「大丈夫だ!私だってザイラスが困ったときには守るぞ!」


きゅっと手を繋いで、その小さな身体を擦り寄せるシルヴィ。

その気持ちが嬉しくて、つい顔が綻んでしまう。


「ゴホンゴホン!!君たち人前ですよ~!

ザイラス!お前が一番男だってバレやすい容姿してるんだから気を付けろよ!」

「わかってるよ。お前こそだろーが。」

「いやん!私はどこをとっても乙女ですけど?!」

「ほーーーー…。」


フェイの奴、女装が趣味になったらどうするつもりなんだろうな。



俺とシルヴィも貴重品をスカートの中に隠して、意を決して甲板に出る。

……くそ!うまくいってくれ!!



「船長さ~ん!なんなんですの?今の大きな音!寝ていたのにびっくりして起きてしまいましたわ!」


素知らぬ顔であくびを手で塞ぎながらフェイが表に出てゆく。

間をあけて俺達も後に続いた。


「きゃあ!な、なんなんですの?!この大きな船!!」

「お嬢さん方、悪いが同行してもらうよ。」


赤い髪の女が部下と思われる船員に目配せをすると、船員たちは勢いよく俺達に掴みかかった。


「いやぁ!離してぇ!」

「大人しくしておけば命は獲らない。頼むから静かにしておいてくれ。殺すのは本意ではないからな。」


手首を縄で括られる俺達。

船員に引かれ、大きな船へと誘導された。


しかしフェイの演技、迫真過ぎる…。



「…おい、ちょっと待て。」

「は……?」


赤い髪の女が俺をじーっと見て何かを考えている。

…ヤバい、バレたか?!!


女は俺に近付くと、俺の顎を手に取り下げていた顔を上げさせた。

隻眼の眼帯と、エメラルドのような緑色の瞳が俺を疑っているかのように見つめる。


俺は腰布の中に隠した短剣をチラリと見た。

くそ!いざとなれば戦うのも仕方ないか……!?



「お姉ちゃん!やだ!お姉ちゃんに痛いことしないでぇ!!」

「……シルヴィ?!」


シルヴィが俺に寄り添うように引っ付き、赤髪の女にうるうるとした涙目で訴えかける。

これには女も驚いた顔をして、俺から手を引いた。


「…なんでもない。ちょっと気になっただけだ。

おい!お前ら連れていけ!」

「うっス!!!!」


船員に縄で引かれて大きな船に向かう。

俺はホッと一息ついた。

…はぁぁ。助かった…。



「私のザイラスに触れるなんて許さないぞ!

もしあの風船みたいな胸使って色仕掛けなんかしてきたら、絶対抹殺してやるんだから……!!!」



隣からはやけに物騒な言葉も聞こえてくるけど。

ああ、一体どうなるんだよ、この旅は……。





うっかり目の色間違えたので訂正してます…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ