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盗賊は聖女に愛される  作者: ton
3章
42/53

筋肉王との戦い

俺とラクス王が剣を合わせることになったのは、王宮の騎士団の訓練場。


俺はいつもの剣を持って、ラクス王は…大きな大剣を軽々片手で持ち上げていた。


「っひゃ~、すごい筋肉だなぁ!」

「脳みそまで筋肉でできてるんだ。ラクスは」

はぁ、とシルヴィとフェイの声が聞こえる。

俺は騎士団で肩当てと脛当て腕当てをつけ、他はそのままの女装姿だ。


「おーい!ラース!!」


フェイの呼ぶ声が聞こえたので行ってみると、耳打ちされる。

「いいか、怪我しないことも大事だが、あの王に勝とうと思うなよ」

「は?それじゃシルヴィを諦めろっていうのか?」

「そうじゃない、ここで勝つのがめんどくさいことになるってことだよ。

王に手傷でも追わせてみろ。誰だあいつはって話になるだろ。」


それもそうだ。

でもじゃあどうやって勝てば…。

「ラースさん、前へ」


訓練場の中央でラクス王と対峙する。

「はじめ!」

リードワースさんの声が合図になった。


「トゥワアアァ!!!」


うっ…マジか!!最初から切り込んで来るなんて!!


ブンッと勢いよく振られた大剣が空を切る。

辛うじて後ろに跳躍して剣を避けた。ズザッと砂ぼこりが舞う。


「ほらっ、休んでられないぞ!!」

またも凄い勢いで切り込んでくる。

強い!!!


そのスピードはかなり早く、避けては追い付かれ、反撃の隙がない。大剣は力で振り切るからそこに通常隙が生まれる。だがこの王はそれをこの筋肉で、まるで普通の剣を持っているかのようなスピードでまた振り上げてくるのだ。


「ラース!!!怪我だけは…しないでくれ…!!」

シルヴィの悲痛な叫び声が聞こえる。


この勝負に勝たなくては。

怪我をせず、王も傷つけず、勝負を決するには…!!


俺は王の攻撃を避けたあと、後ろを向いて走り出した。

「なんだ、逃げたのか??」

騎士団の揶揄する声が聞こえたが気にはしない、勝つためだ!!


「たあああっ!!!」

俺は一度王から間合いをとって、また王に向かっていく。

俺の読みが当たっていれば…!


ガキン!!!


王は剣を振り上げるのをやめ、俺の一発を剣で抑えた。

ビィィン…

金属の痺れが手に伝わる。

対峙するは、燃える瞳の、獅子の王。


女好きの王のことだ、本当に女に傷を負わせようとは考えていないはずなんだ。

つまりは牽制目的。

だとしたら、勝負は…!

俺はまた、剣を振り上げる。

目的の場所に当たるように……!


ザシュッ




はらり、と落ちたのは、黄土色の髪。

剣がかすった、毛先の一部だ。



傷つけず勝負を決するには、武器の破壊しかない。しかしあの大剣は無理だ。


だとしたら、彼に一撃、しかも相手のプライドをそれほど傷つけずに済み、怪我をせずに実力を認めさせるとしたら、髪しかなかった。

…そしてきっとこの王は、女には甘い。



「いやぁ~!やられた!!!あっはっはっは!!」

王はその落ちた髪を見ると大きな声で笑い始めた。


「よしよし、じゃ、しばらくシルヴィを預けるか。で、観光が終わったら俺の所に二人一緒に嫁に来てくれ。あ、フェリー!お前もよかったらどうだ!!」


「ちょっとラクス!!貴方、手を抜きましたね!!」

リードワースさんが王に食ってかかる。

「抜いてない抜いてない。まさかラースがここまでできるとは思ってなかった。俺のことをここまで追い詰められれば優秀だろ。」

「はぁ…もう。わかりました。

シルヴィ!危険な事をせずに、毎日何をしたか便りを私に送りなさい。

聖女さまへの祈りも毎日欠かしてはなりませんよ!」

「やったぁ!リード大好き!!!」

そういってシルヴィは笑った。


シルヴィのその顔を見て、嬉しそうな顔をするリードワースさんはやっぱりお母さんのようだった。

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