溺愛
糖度が上がります。危険です。
「どぅわあぁあぁ!!!!!」
船室から聞こえた叫び声。
今の声は…ザイラス!!!!
うたた寝をして起きたときにはザイラスはまだ眠っていた。
頭を撫でられた気がしたのは夢だったのかとひとり溜息をついて、起きたとき用に水と食べ物をとりに部屋を出たのはついさっきの話。
…まったくスキのない!!!!
ザイラスの叫ぶ心当たりの人物は、今この舟には一人しかいない。
「退けっ!!!!
このバカエロ王っっっ!!!!」
ドアを開けると、青ざめた女装姿のザイラスに迫るラクスの姿。(やっぱり)
ゴンッッ!!!!!
脳天クリーンヒット!!
シルヴィちゃんてばコントロールも天才的ですよ!!!
「えっ…ちょ…
シルヴィこれ、ガラスの水差し…」
別の意味で青ざめたザイラスは、わたしの投げた水差しをモロに頭に受けて、大きなたんこぶに水浸しになっている、気絶したラクスを交互に見てる。
「ああ、大丈夫大丈夫。
この人の頭、鋼鉄でできているんだ。
ザイラスは気にしなくていい」
黒い笑みで笑うわたし。
「えっと…そ…そうなのか?」
困り顔のザイラスに胸がきゅーーーーっとなる。
抱きつきたい。
抱きつきたい。抱きつきたい!!!
だだだ、だけどっ!!!
記憶…思い出してるんだ…。
わたしのこと…嫌いになったかもしれない。
手を払われた時の、怯えた顔のザイラスを思い出す。
あんな怪物を産み出すぐらい。
恨まれてたってこと…。
会いたくなかったって、思われてたら…。
死ねる。
生きてる意味ない。
「ザイラス、わたし死ぬ。」
「はぁっ?!」
「海に飛び込んで海の藻屑になればいいんだ!!!
わたしの人生終わった!!
ザイラスに嫌われたら生きてけない!
死ぬ!!」
あっはっはー!と笑いながら頭を抱えて極論に達したわたしは、船室を出ていこうと勢いよくドアを開けた。
「まっ……
シルヴィ!!!!」
出ていこうとしたわたしの体は、ひと呼吸の間にザイラスに背中から抱きしめられていた。
「はぁ…
話、きいてよ」
ち……
近い近い近い!!!
振り返るとすぐそばにザイラスの顔が近づいてて、迂闊に振り返れない。
心臓が3つか4つになったみたいにスゴい音が鳴ってますです!!!
私は腰が砕けてへたりと座り込んだ。
座った私に合わせて同じく座り込んだザイラスは。
ぎゅっと私を抱きしめなおす。
「会えて嬉しいのに、死ぬなんていわないで欲しい」
チラと振り返ると、ザイラスの顔は…真っ赤で。
その顔を見られたのが恥ずかしかったのか、私の肩にそのままパタリと顔を伏せる。
「…ら…」
「え?」
肩でボソッと呟くザイラスの声に耳を澄ます。
「今度はもう、離さないからな」
そう真っ赤な顔で拗ねるように言って、わたしの手をぎゅっと握った。




