誓い
目が覚めたのは、ベットの上だった。
あんなに大怪我をしていたはずなのに、痛みがない。難なく起き上がれた。
「シルヴィ…?」
ベットの側にはシルヴィがすやすやと眠っていて。
看病してくれて疲れていたのか、俺が起きても反応しないくらい熟睡している。
頭をそっと撫でると、すこしだけ体を捩る。
思い出してしまった記憶は、正直、忘れていたかった。
どうしてもあの頃の感情に引きずられてしまう。
過去の俺の心に襲ったのは、圧倒的な孤独と絶望。
心が黒く塗りつぶされ、そこからまるで人形になったように、あの黒の魔王に変化した俺に体の主導権を握られてしまった。
でも、覚えている。
たくさんの村や町を潰した。
人の命を奪った。
俺は、魔王だ。
闇を司る王から、
まさに魔王になってしまっていた。
「見た目だけだと…思っていたんだけどな」
そしておそらくは。
シルヴィが聖女…なのだろう。
「なんで…。」
過去の記憶が揺り動かされるように襲ってくる。
涙が一筋、頬を伝った。
あの頃の俺は、自分の孤独や絶望にうちひしがれて、なんでこんなことになったのか と、毎日自問自答を繰り返していた。
聖女である彼女の願いを恨みに思ったこともある。だから生まれた。あんな怪物が。
でも。
こうやってシルヴィ…聖女と呼ばれていた彼女を目の前にすると、不思議とひとつしか言葉が出てこない。
「…会えて うれしい。」
シルヴィの頭にそっと唇を落とす。
うれしい。
また、会えた。
今度こそ
「ずっと、一緒に」
一緒に いる。
そう、心に誓いを立てた。




