ちょっと首都まで
結局その後、監獄の中で起きた問題は犯罪者と看守を捜索するということでとりあえずの解決をみた。
…本当はもう、この世にはいないんだけど、話すわけにもいかない。
「じゃぁシルヴィ、今回は連れ去られて遠くへ来てしまっていたようだし、貴女今から私達とルーベンダールに帰るのよね?」
「あ…。」
そうだ、そうなるに決まってる。
でもそれはザイラスと離れるということになる。
それはわたしの選択肢にはない。
「い…いやっ、ルーベンダールを出てみて、初めて世の中を知ったというか…とっても勉強になったんだ!
だからもう少しラースとフェリーとこの辺りを見て回りたいなぁ!な~んて!!
なぁ、フェリー!」
わたしはフェイの肩を叩いてチラ見する。
まさか、わたしをザイラスと引放したりしないでしょうねぇ~という念を重く込めて。
それを見たフェイは汗をかきながらはーっと息を吐き、ニッコリと笑ってリードに向き直った。
「…もし大変でなければ、わたしもラースもルーベンダールにお連れくださいません?
実はこの辺りから離れた事がなくって。
物見遊山で行ってみたいなぁとはお話ししてたんです」
うふっ と、手を合わせて頬にあててのお願いポーズをするフェイ。
(おい!大丈夫なのか?ルーベンダールに行くことになっても!)
(仕方ないな。シルヴィちゃんをうまいこと連れ出して舟に乗るなら一緒に一度、首都まで行ったほうが早い。
俺達の目的の島へ向かう舟もあるだろうから、行ってから抜け出せばいいさ。)
「シルヴィ?フェリーさん?どうかしましたか?」
「いっ…いやぁ!なんでもないぞ!」
「ほほほ、シルヴィちゃんからも乗せてもらえないかお願いしてって言ってたとこですぅ」
「大丈夫だ!俺の新しい嫁だ!
勿論連れ帰るに決まっているぞ!!」
ラクスがそう言うと、はぁ~っとリードは溜息をついた。
「こう言ってますし、いいでしょう。
じゃあ皆でルーベンダールへ行きますよ。」
そうして舟に乗り、監獄を後にした。
------------------------------
「ほ~っ、勇者と落ち合った とはね。」
カシリ と赤い実をかじる人の姿が監獄近くの木上にあった。
黒い翼が人の姿を隠し、その一帯が闇に呑まれたように、重く暗い。
「まったく、俺の本体は毎回こっちが苛立つことをやってくれるよ。本当に腹が立つ。
……これはもう、皆殺しかな」
ふふっと笑顔を見せて。
その姿は、闇に溶けた。




