逃走の終わり?
今回はシルヴィ目線です。
「ザイラス!!!!!」
わたしは慌てて駆けてきて自分の手を患部に当てる。
ぬとり と、ザイラスの血で手が真っ赤に濡れた。
涙が邪魔でザイラスがよく見えない。
手を払い除けられた時
わかってしまった。
わたしが前世、どんなにひどいことをしたか。
だって今でさえ。
ザイラスがこの世から消えてしまったら。
生きていけない。
「ザイラス、死なないで、生きて、生きてくれ、
お願いだ……!!!」
そんなひどいことを、わたしは大好きな貴方にしてしまったんだ。
恨まれても仕方がない。
わたしが身体にある限りの魔力を解放して、ザイラスの身体に送り込もうとした時。
わたしの頭を撫でた手があった。
「ザイ……ラス?」
薄ぼんやりとした視線で、でもわたしの目をとらえ、ぱくぱくと口を開けて何かを伝えようとしている。
わたしはその声を聞きとろうと耳を寄せた。
「……だから。」
「え?」
「だい…じょ…ぶ。
あ…つの…ちか…らは俺と…同じ…だから
死には…し…ない。」
見ると、貫通した身体はすでに塞がって、血は止まっている。
そうか、闇の力同士だから致命傷にはならないんだ。
もしかしたら私が強い光の回復魔法をかけたほうが、ザイラスの場合は逆に危ないかもしれない。
そう思ってすこしだけ弱めの回復魔法をかける。
安心したのか、ヒューヒューとした息を吐きながら、目を閉じて眠ってしまった。
「シルヴィちゃん、ザイラスは…?!」
「大丈夫みたいだ。傷は塞がってる。
ただ、どこかに移動してゆっくり休ませないと…。」
きょろきょろと周りを見るがベットは見つからない。
見つかったとして、どうするんだ。
ここまで重症のザイラスを移動させることなんてできない。
「あれ?あれって…なんですかぁ!?」
壊れた壁から何かを覗いたリリーが驚いた声で叫んだ。
フェイが慌ててリリーに駆け寄る。
「…うわぁお。
これまた……詰んだねぇ……。。」
フェイが振り返り、半笑いで言った。
私が慌てて同じように見に行くと。
見たくないものが見えた。
「ルーベンダールの…王国巡視船…。」
表の甲板には。
獅子のたてがみのような髪型の男が堂々と胸を張って立っている。
「まじか……。」
次回から3章です。
でもってシリアスモード一旦終了。




