闇の王
その場の空気が一瞬にして凍りつく。
俺とシルヴィはその少年の容姿にビックリして。
その少年も、始めこそ笑顔でいたものの、俺達をみて急に態度を変え鋭い目付きで睨んだ。
「うっわ……なにその色。
気分わっる……!!」
明らかな敵意。
いや、これは…敵意じゃない。殺意だ。
「ケンカ売ってるよね。ああ胸クソ悪い!!
見たくもないモン見せるなよ!
死んでよ!!!」
少年が手を降ると、鋭い漆黒の刃が太い針のように飛んでいく。飛んでいく先は…。
「ザイラス!!!」
「くっっ!!!」
俺はシルヴィをかばってその針を受け、身体にいくつかの裂傷を負った。
なんだ…なんであいつ、シルヴィを狙った??
「ちょっと、邪魔しないでよ。その女、すげー目障り。すげー見てるだけでも腹立つ。
死ね死ね死ね死ね!!!!!!!!!!!!」
発狂したように叫ぶ少年の手から、信じられないものが生まれる。
「あれって…。」
「え…
な…なんで…???」
さっきまでたくさんの人達を送ってきた、シルヴィが生み出していた真っ黒い円上の魔法が、少年の手にある。
しかしその色は重みが違い、闇が濃い。
明らかに俺達を葬るための魔法に違いなかった。
「死ねぇえっっっっっ!!!!!!!!」
勢いよく繰り出された闇の玉は、唸りを伴って俺達を襲う。
眼前に広がる漆黒の闇。
…だめだ。
呑まれるわけには…いかない!!!!
「ふ…っざけんなぁあぁっっっ!!!」
剣を持って闇に向かって相対する。
瞬間。
血が、沸くのを感じた。
ドガァアァァアン…!!!!!
「…っは、冗談かよ…!!」
その姿を見て、少年の顔には、うすら笑いが浮かぶ。
弾かれて天井を壊した闇の玉は霧散し、焼けた鉄の隙間からのぞく日の光に当てられて、その姿は現れた。
目の前には、黒い闇の翼。
目は紅く大きく見開かれ、魔法で濃紺になっていた髪は長い黒髪に。
「殺させたりなんか…しない…!!」
俺の姿は、この世ならざるものだった。
不思議と、驚きはなかった。
ただ思ったのは。
…どこかで感じていた違和感の正体は、これだったのか。と。




