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途中でリリー視点に変わります。
「うっわ…すげえ。」
ドアを開けてフェイとリリーを呼ぶとフェイは感嘆のため息をついた。
「さっきまでの死体の山は?」
「ああ…えっと、シルヴィが魔法で…。」
ちらとシルヴィを見る。
「ああ、私がやった」
その言葉に少し安心した。
そうだよな、さっきのは…シルヴィの魔法だ。
…のはずだ。
なのに。
あの魔法、どこかで見た気がしてならない。
しかも、ごく身近に……。
「…ったぁ」
チリっと額が焼ける感覚がする。
「ここは…上に登っていけばいいのかな?」
フェイは上の階にささっと偵察に行く。
が、すぐに戻ってくるはめになった。
「悪いな。…シルヴィちゃん、頼むわ。」
上も同じような惨状のようだ。
シルヴィと俺は、その後も何度か同じことを繰り返した。
…その度、人の終わりを目の当たりにする。
解放される魂。
それはもう死んでいる以上仕方のないことだけど。
死んでしまった魂のことを思うと、虚しい気持ちだけが募っていった。
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「おい、顔青いぞ、大丈夫か?」
「大丈夫…じゃないかも。。。」
お父さんが殺人を犯すような犯罪者と一緒の監獄に入れられた時点で、もしかして という気持ちがないわけじゃなかった。
でも、ここでこんな状況になってみて改めて、自分の考えが甘かったんだなと気づいたんだ。
「お願い、おばさん嘆願書を監獄に持っていきたいの!書いて!」
「そりゃもちろんだけど…
…いや、他の知り合いにも声かけとくから、頑張りな」
そう言ってくれる人は町にたくさんいた。
だけどこっちから声をかける度に、みんな揃って悲しい顔をしていて。
…私も、ほんとは気づいていた。
もしかしたらもう、間に合わないこと。
昨日道で助けてくれたこの人たちと合流していなければ、お父さんを探すことすらできなかっただろうと思う。
出会えて探せているだけ幸運だと。
「リリーちゃん。お父さんが収監されたのはいつ?」
「え…。えっと、一月前です。」
「そうか、なるほど。
シルヴィちゃんが神殿を出た後だから…そのくらいか。そうすると…。」
フェイさんは指を折って何かを計算しているようだ。
シルヴィさんとザイラスさんが死体を魔法で埋葬している間、私はフェイさんという人と一緒にいる。
この人たちは、不思議な人たちだ。
特にシルヴィさんとザイラスさん。
フェイさんは頭のいい人って感じの普通の人だけど。
シルヴィさんとザイラスさんは何て言うか…、
もちろん二人ともキレイだからっていうのもあるんだろうけど、手の届かない異世界の人のような感じがする。
二人が並ぶとまるで一対の絵のようで。
そこだけ異世界に変わってしまう。
存在に見惚れてしまうというのだろうか。
「上の階も済んだから、上がってきていいぞ」
シルヴィさんに声をかけられて、次の階へと上がる。
その上の階が確か…最上階だ。




