神殿
ルーベンダールサイドです。
「ほーう、じゃあとりあえず見つかったわけだ」
「ひと安心しました…。」
報告をする兵を前に、リードワースは大きく息を吐いた。
それもそのはず。
白き華という異名をもつ、神殿に保護されていた少女は光の魔法を使い、聖女の再来とされていた。
そんな少女を逃がしてしまったのだから。
「はははっ!
シルヴィも勝手だなぁ~!」
「王…、笑えません…。」
この王は私のヒヤヒヤした心など我知らずなのだ。
本当に自分勝手。
手にいれると決めたものは絶対に手にいれるし、力を使ってでも我を通す。
正義感を持つ人物でなければ最悪なところだ。
溢れでるカリスマ性に、ライオンのたてがみの様な色の髪は、周りからそのまま獅子の王と呼ばれている。
「もっと心配してくださいよ。王は勇者の末裔でしょう?」
「心配ないだろう。シルヴィの強さはわかっているし。
まぁ、俺の嫁になるまでの間は自由にさせとくのも社会勉強だからな。」
またこの王は…。
「はあ……、嫁ですか…。」
「あっ!リード嫉妬した?!
リードだって同じくらい愛してるよ!
大丈夫!ふたりとも嫁に貰う予定だから!!」
…訂正する。
王の悪いところは、我儘なところと女好きなところだ。
「あっ……あのぅ…。」
報告してきた兵が、おずおずと話しかける。
「ん?なんだ??」
「ええっと……言いづらいのですが、
シルヴィ様はお一人ではなく…
その…ある男性と一緒で…。
大変、仲睦まじくされていました…。」
「…。」
「…。」
「兵を出すぞ!!!
シルヴィ救出に向かう!!!準備せよ!!」
バサリと金のマントが翻る。
「わあああ!! 王ともあろう者が私用で兵を動かさないでくださいっっ!!!」
「だめだ!俺の嫁が一人減る!!」
「こんっのバカ王!!
女好きも大概にせんかぁ!!!!」
「ぐええっっ!!!」
私は杖で王を殴って気絶させた。
「…ええっと、リードワース様、よろしいので?」
「バカを止める方法がこれしかなければ仕方ありません。
それより、シルヴィはどんな感じでしたか?」
「ええっと…、私が神殿で見ていたお静かなシルヴィ様ではなく、大変楽しそうにされていました。」
貴族の慰みものとして売られ、逃げだしたところを私と王となる前の…まだレジスタンスとして活動していたラクスとで保護した。
スラムで初めて見たあの時。
全てを諦めたようなあの瞳は、今でも思い出すと不思議と身震いがする。
なのにあの子が光の魔法を使った時は驚いた。
キラキラと輝く光の粒で、生きている全てのものの力を目覚めさせる。
あの魔法を使えるのは聖女と
聖女の力を引き継ぐ勇者の末裔である王。ラクスだけだ。
「…そうですか、わかりました。
追ってお願いする事もあると思います。下がりなさい。」
個人的には幸せにしているならそのままにしておきたいけれど。
ラクス王がそうしておくことができないとは思うし。
「とりあえず、一緒にいるという男を調べないといけないわね。」
聖女は、神殿にいるのが一番相応しいのだから。




