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盗賊は聖女に愛される  作者: ton
2章
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旅立ち

その村に一週間ほど滞在して、体調も戻った頃。

俺達はいつものように部屋で朝食をとっていた。


「村のみんなは無事逃げ出せたのは確認できた。

で、これからのことだけど。」

フェイは慣れた光景にツッコミもせず朝食をたべている。


慣れた光景というのは…。


「ザイラスは果物好きか?

林檎があるぞ!」


シルヴィは今日もまたいつもの攻撃をしかけてくる。

フェイがいるときはやめてほしい……。


気をとりなおしてフェイの方へ向きなおす。


「ああ、じゃあ村のみんなと合流するか。」

「いや、お前は戻らないでシルヴィちゃんと暮らせ。」




……え?


「なんの冗談だよ。」

「いや、冗談じゃねえよ。真剣に考えてた。

シルヴィちゃん連れてっても村のみんなは警戒するだろ。村が襲われた後だし。

かといってここに置いていく訳にも行かない。

だけど俺一応次期村長だし。

俺は帰らないといけないけどお前は違うだろ。」




「……。」


なんにも言えなかった。

連れていけば、つらい思いをするのはシルヴィだ。俺じゃない。



何処から来たのかシルヴィに聞いたことがあった。


元々貴族に捕らえられていたのを逃げだした後、魔族の出るという方向へ向かうあの商団に、わざと捕まって荷に乗ったと言っていた。

となれば、彼女にこのあと行く場所はない。

女性一人で暮らすには、今の治安では危ないし。



…それしかないのか。




---------------



正直、シルヴィちゃんならどうやってでも生きていけるだろう。

頭もいいし、なんといってもあの強さ。

まあ、そんなことザイラスは知らない訳だけど。



ただ……。



聖女様、怖すぎますって!!!



俺とザイラスが話してれば嫉妬の眼差しで見てくるし!

(断言しておくが決してザイラスと俺はそんな関係じゃない)


ザイラスからほとんど離れないし。

(寝るときくらいは別の部屋にしてほしいと言ったが聞いてくれないから俺がひとり部屋になった。)


掃除に来た宿の娘さんとか追い返すし。

(ザイラスに惚れたらやだから、俺に口説いてこいとか指示出された。。あれ?俺って下僕扱い?)



とにかく執着というか依存というか。

これでザイラスから引き離すなんてことをしたら確実に命がない。


いくら魔王でも、ザイラスは幼馴染だ。

ザイラスだけだったら村に一緒に戻るところだけど。

シルヴィちゃんは、ある意味危険すぎる。



「たまに……村に行ってもいいか?」


「もちろん。お前の家族は村にいる俺達だからな!」


「ああ!」

そう言うと、ザイラスは嬉しそうな顔をして笑った。



ああ~!

聖女様からの視線が痛い~!!


しかし何故ザイラスはシルヴィちゃんのこの執着に気づかないのか…。


シルヴィちゃんが上手く隠してるにしても…。


ああ、ある意味恐ろしい…。




---------------


「ありがとうございました~!

フェイさんっ!またぜひ私に会いに来てくださいねっ!」


「あっ…ははは、そうだね、またね!」


宿屋の娘のマリーンはフェイに惚れてるらしい。

ふっくらとした、女将さんと言えなくもない元気なお嬢さんだ。



町の出口まで俺とシルヴィはフェイを見送りに行った。


「じゃあ、元気でな。シルヴィちゃんと仲良くしろよ。」

「仲良くするぞ!当たり前だ!」

「手紙は…届かないかも知れないけど、……元気で」



……寂しい。


そんな気持ちを出すわけにはいかないから笑顔で見送るけど。

兄弟みたいに過ごしたフェイとの別れは、かなりつらいものがある。

あんな風に隠れていかなければならない村だから。

次みんなに会えるのはいつになるだろう。



そんな俺の心の内を読んだかのように、シルヴィが俺の手を握って、目を合わせればにっこりと微笑んでいた。



……大丈夫だ。



根拠のない、でも何故か広がる安心感。

……大丈夫。



そうして、フェイは旅立って行った。





……キリキリキリ


変な音に顔を向けると。

高い建物の上から矢をこちらに向けて放つ、黒い陰。

何を狙って……?!!


矢は俺達の方へ飛んできている。



だめだ。

もう間に合わない。





シルヴィを庇って胸のなかに抱き込む。

しかし矢は、俺に刺さることはなく。

途中でなにかが当たって折れて、落ちた。



折れた謎の矢の脇には、見慣れた矢。


「……ははっ、なにこの展開。

狙ってんのかねぇ~。」



そこには矢をつがえたフェイがいた。


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