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Episode.14 世界樹の森

木々のざわめきが森の奥へと誘うように揺れている。

エルフの里――

そこは、巨大な樹々の枝に沿って家々が並び、 蔦で編まれた優雅な吊り橋が

何層にも渡って張り巡らされる幻想的な場所だった。

ミリアは思わず息を呑む。

リリシアは目を輝かせ、

ライガは「すげぇ......」と素直に漏らす。

導かれた先は里の奥、ひときわ太い木の幹をそのまま利用した大きな住居だった。


「ここが長老の家よ」


セレスの案内で、三人は中へと通された。

奥の部屋には、

深い緑色のローブを纏ったエルフが静かに座っていた。

年輪のように刻まれた皺、しかしその眼光は鋭い。


「......お前さん、その顔......」


長老はミリアをじっと見つめ、まるで時間を旅するような目をした。


「十数年前にも、似たような顔の人間がここを訪れたな......」


ミリアの胸がドクンと跳ねる。


「それは......きっと私の母です」


「ほう......そうか。あの時の人族の娘か……。

 この里に人族など滅多に来ないからよく覚えとるわ」


長老は懐かしそうに目を細めた。


「あの時は、魔装を求めてここへ来た。

 人族でありながら、見事に魔装を習得した者たち......

 その娘がお前というわけだ」


ミリアは深く頷いた。

そして、彼女はザンガとのこと、世界樹の葉が必要であることを丁寧に説明する。

長老はしばらく黙ってミリアを見つめていたが、やがて静かに口を開いた。


「世界樹の葉を与えること自体は構わん。

 命を救うために使われるのならばな」


ミリアはほっとするが――


「だが仮に―― エリクサーを作り、ザンガと戦えるようになったとして。

 それでもお前さん、勝てるのか?相手は魔神じゃろう?」


その問いに、ミリアは息を呑んだ。

胸につき刺さる問いだった。

ミリアは拳を握りしめ、 しばらく沈黙の後、

真っ直ぐ長老を見返す。


「......勝たなきゃいけないんです。

 怖くても、足りなくても......絶対に」


長老は、その言葉を聞いて穏やかに笑った。


「そうか。よい覚悟だ。

 ならば――さらなる力を手に入れるがよい」


ライガとリリシアも、思わずミリアの横顔を見つめる。

どこか誇らしげで、揺るがない瞳だった。

長老は立ち上がり、ミリアへ歩み寄る。


「ところで、お前さん......魔装は使えるのか?」


「はい。父と母に叩き込まれてきましたから」


「さもありなん。ならば――見せてやろう、

 お前さんがまだ知らぬ道を」


ミリアはきょとんとした表情を浮かべる。


「魔装の......さらに先、ですか?」


長老は深く頷いた。


「魔装を使いこなすだけであれば、世界にはいくらでもいるじゃろう…。

 特に戦闘を生業としている者であればな。

 だが魔装の“その先”に至る者はこの広い世界を見ても数えられる程しかいないじゃろう」


ミリアの胸が高鳴る。


「もっと......強くなれるんですか?」


「ああ。驚くほどにな。

 じゃが、一筋縄にはいかん」


ミリアは思わず頬を紅潮させ、その場で胸の前で拳を作る。


「......やりたいです。知りたい。もっと強くなれるなら!」


長老は愉快そうに笑った。


「うむうむ。では――ついてくるがよい」


長老は部屋の奥の扉を開ける。

きしむ音とともに現れたのは、

古びていながら荘厳さを放つ石造りの階段。


「これから向かうのは魔法書庫。

 お前さんらに......面白いものを見せてやろう」


ミリアは期待に目を輝かせ、

ライガとリリシアも後に続く。

エルフの里の最深部で、 ミリアは“さらなる力”の片鱗に触れることになる。

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