露天風呂は危険
「あら、私としたことが!どうしましょう。露天風呂は男女共用でしたわ!!」
「まぁ、誰もいないですよ」
「そうですわよね」
「あーー、露天風呂いい感じにあったかいなぁー…」
(なんで?賀奈子さん!!こんなの聞いてないわよ?!)
私は驚きと焦りが隠せない。こんなチャラい奴に見つかってしまったら、確実に食われるに決まっている。
それに、さっきまで若干忘れていたけど、今日の悠仁の様子はなんだか可笑しいし……。
露天風呂が湯気まみれでよかったと思う。私はそそくさと石の影に隠れた。流石に扉を開けると気付かれそうだし。
でも、どうして彼が指輪の事を知っていたのだろう。特殊能力を使って答えが導かれつつあることも知っているが、やっぱり現実を受け止めずらいのだ。
本人に聞けばすぐに終わる話かもしれない。でも、彼が春樹であるには変わりすぎていて、今の私なんかではきっと……。
もしも、過去の私にしか興味がなかったらどうしよう、とか、信じてもらえないんじゃないか、とか、真実かしまったら私達の記憶が消えてしまうんじゃないか、とか、色々な事を考えてしまうのだ。
(私、弱くなっちゃったわね)
だから……
少しだけ、少しだけ時間が欲しい。
この、チャラくて馬鹿でヘラヘラと笑う彼と、どうしようもない仮の関係を、続けていたいのだ。
(あ……のぼせてきたかも)
一人で考えにふけっている間に、結構な時間が経ってしまった。何故悠仁は出ない?!!早く出て欲しいのだけど。
私は長湯が得意では無いのだ。ため息をつきながらも、私は縮こまりお風呂に浸かった。
◆◇◆
さっきからずっと気になっていることを言おう。……なんで玲花がここにいるの?露天風呂に入って、すぐに玲花らしき人影と、感情が見え見えだったけど、気付いたらダメな気がして放っておいた。
そんなことをしていたらいつの間にか出るタイミングを見失い、若干のぼせかかっている玲花の為にも、ささっと出てしまわないと……。
というか、今日の玲花はあからさま過ぎた。指輪のことを聞いたとき、顔は普通だったけど、感情が暴れまくっていて、分かってしまったのだ。でも、まだ一番の証拠を見れていないし、彼女も知られたく無いようだったから、僕も黙っている。けど、いつかはお互い言わなければいけないと思っているだろう。
(あ、僕ってナチュラルに言ってたわ……)
俺も玲花も、生まれ変わって少し変わった。根本的な所は変わっていなかったと思うけど。俺がいい例だろう。だって全然違うし。
いや、これは自分が意識してやってるんだけどね。
だって、生まれ変わってすぐに彼女に見つけられてしまっては、格好がつかないではないか。それに、実はこのキャラ、案外気に入っているのだ。
もしかしたら俺はチャラ男になれる素質があるのかもしれない。ちょっと面白そうだな。
本当は今すぐにでも知らせて、彼女を抱き締めたいけど、俺は悠仁でもあるから、すぐには無理だろう。まぁ、しばらくはおチャラけた態度で遊ぶようにスキンシップを取ろう。
だって、俺達仮であろうとも婚約してるし。
外堀は埋まってるし、今さら逃げようと思っても無理だろう。それに、僕が手放す訳無いじゃないか。
何年我慢したと思ってるんだよ。
新しい出会いもあって、彼女には感謝している。でも、まだ黙って隠し事をして死んでしまったこと、根にもっているのだ。真実が全て分かったとき……。
覚悟しとけよ。
(もう、出ようかな)
そして俺はあることに気付いた。特殊能力で探しても感情が読み取れないと。と言うことは今、玲花は……。
のぼせている。
「あちゃー……ごめん。長湯は苦手なこと、すっかり忘れてたよ」
石の影に横たわる玲花は、綺麗だった。裸を見るのは流石に理性が危ないため、タオルでくるんでから抱き上げると、彼女の白い頬に口付ける。
(これくらいは、してもいいよね?)
更衣室の椅子に寝転がせて、自分はさっさと着替えると、賀奈子さん達を呼ぶことにした。
「ちょっとぉー!賀奈子さん達ーーー!玲花チャンのぼせちゃったんだけどー!」
ドタドタと言う激しい足音が響いているのにも関わらず、玲花は目を覚まさなかった。すごい。
「なんですって?玲花さん!大丈夫ですか?!」
「ぐぉほっ!!ごほっ、げほっ!(大丈夫ですか?)」
賀奈子さんはまだしも、美月さんは走らなくても良かったと思う。……一応、病人だよね?え、本当に大丈夫?と思ったら走ったのは少しで、あとは碧が運んでくれたらしい。それでも気を付けよう…ね?
「とりあえず、俺は水とか持ってくるから、その間に着替えさせといてあげてくれないかな?」
「はい、分かりましたわ!」
「ごほっ、ぐはっ、げほっ!(分かりました)」
更新遅くなってしまいすみません!!見てくださった方、ありがとうございます。頑張ります!!




