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過去3 晴樹編

途中で晴樹視点から大和視点に変わります。


あれから大和くんのために家を改装したけど、京子の部屋だけが手をつけられずにいる。


そして、今日は大和くんが家に来る日だ。施設へ行って施設の子達と遊んでから大和くんを連れて家に帰るっていう流れだけどうまく出来るだろうか。


とりあえず施設に行こう。


「こんにちは」


「こんにちは、一ノ瀬さん」


「大和くん、お泊まりの用意、バッチリしてきたもんね」


「うん!」


ああ、すごい。ここはヒーリング効果があるよ。


「一ノ瀬さんにもらったゲーム、皆のなかで僕が一番強いんだよ」


ゲーマーになれる素質があるのかな?


「へー、それはすごいね」


「一ノ瀬さん、今日はウノしよう!」


「そうだね。じゃあ…その…『うの』で遊ぼうか」


どうしよう…『うの』が何か分からない。トランプじゃないの?なんだよ『うの』って。


「えええー!一ノ瀬さんウノ知らないのー?」


「人生半分損してるよ」


どこで覚えてきたんだろう…。


………………………………………………



「ウノッ」


今僕達はウノをしている。大和くんはウノも強くて、僕は全敗している。なんでこんなに弱いんだろう。


「あははっ!一ノ瀬さん弱い!」


また言われてしまった。これ、地味に傷つく。


「もう大分遊んだし、帰ろうかな」


「僕も帰るよ!」


大和くんが元気に手を上げた。


「そうだね」


「大和くん、これ、お泊まりの用意だよ」


「吉川先生ありがとう」


大和くんが荷物を持ったみたいなので行くことにする。


「じゃあ、行こうか」


「うん!」


車に大和くんの荷物を乗せて、大和くんも乗せたらすぐに車を走らせた。安全運転を心がけよう。


「一ノ瀬さんの家はどんな家なの?」


と大和くんが質問してきた。


「うーん、小さい頃はよく迷子になってたかな~」


幼かった僕にはあの家は大きすぎて、迷子になっては家の人を困らせた。


「ひぇぇ、そんなことがあるんだ」


大和くんは驚いていた。…まぁ、僕の家が普通の人の家とはあまりにも違いすぎるから。これが普通の反応なんだろうな。


「迷子にならないように気をつけてね」


「分かった!」


こうして話しているうちに、僕の家に着いた。


「大和くん、着いたよ」


「でか!」


まぁ、これが普通の反応だよね。…と言うか僕もたまに驚くもん。京子もそんな反応だったなぁ。


僕は大和くんの荷物を持って、鍵を回して、家のドアを開けた。


「なかも広ーい!」


「走らないでねー」


「一ノ瀬さん、探検してきていい?」


探検ってなんだろう。部屋を見たいのかな。


「一人じゃ危ないから僕も行くよ」


「早く早く!」


◇◇◇


僕の名前は滝沢大和。もしかしたら一ノ瀬大和になるかもしれないけどね!


僕は4歳の時に施設に来て、5歳の時に里親が見つかったから、とても運がいいんだって。


あと少しで僕の里親になる一ノ瀬さんは、優しくて、かっこよくて、ゲームは弱いんだけど、とても家が大きいの!


あんなに幸せそうなのに、どうして僕を養子にしようとしたんだろう。何かあるのかな。


でも、吉川先生が、「一ノ瀬さんは僕を絶対に幸せにしてくれるよ」って言っていたから、僕はきっと幸せになれるだろう。


今僕は、一ノ瀬さん家の部屋の探検をしている真っ最中で、どの部屋も綺麗で全然飽きないんだよ。


「この部屋が大和くんの部屋だよ」


僕の部屋!施設では皆で一緒に寝るから一人の部屋に憧れていたんだ。ドアのプレートには、英語で大和ってかかれているらしいけど、僕にはよく分からない。


「隣が僕の部屋だよ」


その隣にも部屋があって、そこにもプレートがついていた。一ノ瀬さん以外にもこの家に住んでいる人がいるのかな。どんな部屋だろうと気になってドアを開けようとしたとき、


「大和くん、その部屋は…!」


と一ノ瀬さんが焦っていたような気がしたけど、気のせいかな。ドアを開けると、女の人の人が好きそうな、暖かいオレンジの部屋だった。


その部屋には一ノ瀬さんとお姉さんが写っている写真がたくさんおいてあって、どの写真でも二人は幸せそうだった。このお姉さんは、誰なんだろう。


でも、どうしてこんなに素敵なお姉さんがいるのに、僕を養子になんかしたんだろう。お姉さんはどこにいるんだろう。あってみたいな。後で一ノ瀬さんに聞いてみようかな。


「大和くん………次の部屋、行こっか」


僕には分からないことが多いけど、今の一ノ瀬さんの顔は、どこか寂しそうで、苦しそうだった。「大丈夫だよ、僕がいるよ」って言ってあげたかった。でも、そんなことしか言えない僕が嫌で、手をぎゅっと握りしめて我慢した。せめて一ノ瀬さんが笑顔になれるように、僕は元気いっぱいで、


「そうだね!」


大きな声で返事をしたんだ。



………………………………………


夜ご飯を食べ終わると、一ノ瀬さんにお風呂に入っておいでと言われたから、お風呂に入ることにした。さっき探検したときにお風呂も見たから場所は分かっているけど、いつもは一人で入っていないから、一人は怖いな。そう思っていたら、一ノ瀬さんが、


「僕も一緒に入ろうか?…あ、ごめん、嫌だよね。早く行っておいで」


と言ったので


「入りましょう一ノ瀬さん!」


ごり押しして一緒に入ることになった。


「へー、いつもは皆と入ってるのか。楽しい?」


「うーん、普通かな」


「そっかぁ」


一ノ瀬さんは、僕の何気ないお喋りも、楽しそうに聞いてくれるので、僕も話していて楽しくなってくる。


「じゃあ、体を洗おうかな」


そう言って一ノ瀬さんは僕の体を丁寧に洗ってくれた。ちょっとくすぐったかった。


「次は髪だね」


一ノ瀬さんに頭をわしわしされて、お風呂にある大きな鏡を見たら、面白い髪型になっていて、二人で笑った。


「じゃあ湯船に浸かろう」


施設のお風呂の10倍は軽く越えている湯船に、僕と一ノ瀬さん二人で浸かった。あ…そうだ!丁度いいし、あの部屋の人の事を聞いてみようかな。


「一ノ瀬さん、聞きたいことがあるの」


「なぁに?」


「一ノ瀬さんの部屋の隣に住んでいる女の人は誰なの?」


さっきまで笑顔だった一ノ瀬さんが、急に悲しそうな顔になった。これは、聞いちゃいけないことだったのかな。


「山本京子って言う女の人だよ。でも…もういないんだ」


…どう言うことだろう。もういない?


「分かりやすく言うと…京子は、死んじゃったんだ」


そう言った一ノ瀬さんの顔は、今までに見たことがない悔しがるような顔だった。…死んじゃった。もう、あの女の人には会えないのか…。

僕も、お父さんとお母さんとさよならしたけど、あの時はすごく悲しかった。一ノ瀬さんも、悲しかったのかな。


「僕の、大好きな人だったんだよ。大和くんにも…会わせて…あげたかったな」


一ノ瀬さんの瞳から、涙がこぼれた。大好きだった人が、いなくなっちゃって、もう会えなくなるのは、とても辛いことで…泣いている一ノ瀬さんを見たら、僕まで悲しくなってきた。


「一ノ瀬さ…なかないで」


僕は、一ノ瀬さんをぎゅっと抱き締めて、二人で泣いた。


「僕がいるから、泣かないで…。一人じゃないよ」


さっき言えなかった言葉を、今言った。一ノ瀬さんは、なんだか一人にしておけなくて、これからも一緒にいてあげなきゃって思ったんだ。


「一人じゃ…ない?」


「うん」


「ありがとう、大和くん」


僕は、一ノ瀬さんともっと仲良くなれた気がした。


「僕、絶対に一ノ瀬さんの養子になるよ!だって、一ノ瀬さんが大好きだもん!…これからも、よろしくね!」


一ノ瀬さんは、また泣き出してしまった。








大和くんが可愛すぎる…。お読みいただきありがとうございました。

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