まさか…ね
いつもより少し長めです。
今日も昨日と同じ時間に起きた。
顔を洗い身仕度を整えると、リビングに向かいました。
(あ、忘れ物)
私は一旦引き返した。晴樹から貰った指輪を忘れているところだった。昨日の私が言っていた胸のモヤモヤもなくなっていた。
「幸人兄様、玲奈姉様、おはようございます。」
いつも通り兄様と姉様に挨拶を済ませ、朝御飯が並べてあるテーブルへと静かに座った。
「おはよう!怜花今日も怜花は可愛い!可愛すぎるわ!写真撮るわ!嫌と言っても!」
毎日恒例の写真撮影が始まったようだ。
毎日とったところで別に変わり映えはしないと思うのだが「毎日撮り続けることに意味があるのよ。」と、この前意味不明な事を教えてくれた。
基本兄様が私に「撮っていい?」と聞いてくるのに対し、姉様は「撮るわ!」と言う(どうせ結果は同じ)
姉様が一眼レフでシャッターを連写していると、いつの間にか兄様も連写していた。二人は似た者同士だと思う。
こんなことを二人に言っても否定されるので言わないが。
写真撮影会が終わった後、兄様が
「おはよう、僕の怜花。今日はアイツが車で迎えに来るんだよね。」
と言った。
朝の挨拶が少々遅い気もしたが、気にしない。
今日は兄様が言った通り悠仁が来る。
兄様の悠仁の扱いがとても粗末なものになってしまったが、もう何を言っても無駄だろう。
朝御飯を食べ終えると、インターホンが鳴った。
悠仁が来たのだろうか。
私は通学バックを持ち玄関へと向かった。ドアを開けるとやはり来たのは悠仁だった。
「おはようございます。」
「怜花チャン、おはよ~。」
今日も軽い。多分彼からチャラさを取ったら勉強しか残らない気がする。
チャラさを取ることなんて出来ないが。
「おはよう、久遠君。怜花をよろしく頼むよ。」
「おはようございます、私からもお願いしますわ。」
なんと後ろには幸人兄様と玲奈姉様がいた。わざわざ送り出してくれるようだ。
「おはようございます、任せてください。」
言葉はきちんとしているのに態度でチャラさが滲み出ている。
玄関のドアを閉めると、前と同じ久遠家の執事が車のドアを開けてくれた。
私はこの前と同じように「ありがとうございます」と言った。
車が走り出したので、私は昨日調べたことを悠仁に言うことにした。
「悠仁、昨日のことなんだけど」
「音桜杜美月のこと?」
悠仁は察しがいいみたいだ。
「そうよ。柳瀬桜燐学園の近くにある私立流川総合病院に入院していることが分かったわ。今日碧に言うつもりよ。」
「調べるの早いね~。というか俺知ってたんだけどね。」
それをもっと早く私に言って欲しかったが聞かなかった私も悪いので言うのはやめた。
「今日行ってみようと思うんだけど。」
「怜花チャンが行くなら俺も行く~!」
こうなる予想はしていたので別に驚かない。来ても来なくても、正直どちらでもいい。
「いいわよ。」
「やったー!怜花チャンは優しいね~。」
(えっ?)
さっき彼が一瞬晴樹に見えた気がするのは気のせいだろうか。可愛いとは言われるが(兄様や姉様から)優しいは晴樹にしか言われなかったから晴樹の顔が思い浮かんでしまっただけだろう。
「そんなこと、一人にしか言われなかったから分からないわ。」
「へ~、一人に言われたことあるんだ~。」
悠仁は顔がニヤニヤしていて気持ち悪かった、と言いたいところだが美形なためにその動作でさえも美しかった。
美形と言うのはもはやチートな気がしてきた。
「好きな人にね。」
すると「俺、怜花チャンの好きな人に似てるね~。」とほざいた。
(確かに)
だが晴樹はチャラくない。天然人たらしだったけど。
「少し似てるけど違うわ。彼は天然人たらしだもの。悠仁は只のチャラ男でしょう。」
「えー、怜花チャンひどい」
悠仁がブーブーと五月蝿いがほっておく。
学校に着いたので執事にドアを開けて貰うと、またお礼。
学園内を歩いてくると、桜の花びらが落ちていた。まだ桜は咲いている。
左には悠仁がいた。そして右には
「怜花さん、おはようございますわ。」
賀奈子さんがいた。
「おはようございます。」
「おはよう~。」
「怜花さん、よろしければ今日のお昼、私と一緒に食べません?話したいこと、いっぱいありますの。」
賀奈子さんははにかみながら話した。それは反則だと思う。私だって可愛いものには弱い。
「喜んで」
「俺も一緒がいい~。」
と悠仁が空気を何も読まずに言った。
「いいよね?ね?」
「くっ、見た目は悠仁様…」
賀奈子さんは顔が真っ赤になっていた。ゲームのキャラで悠仁のことが好きだったのだろうか。
「ダメ…?」
悠仁がとてもあざとい気がする。昨日同じ方法兄様と姉様にした私が言えることでもないが。
「いいですわ。悠仁様の顔に免じて許してあげますわ。」
やはり悠仁のことが好きなようだ。今の悠仁ではないと思うが。
「やったー!」
悠仁はルンルンで何処かに行ってしまった。何処へ行くのだろう。
教室に着くまで賀奈子さんとたわいない会話をした。
教室にはもう碧がいた。(悠仁もいた。)昨日のことは早く知らせた方がいいと思うので言っておく。
「碧、おはよう。昨日の事なんだけど、彼女のいる病院、分かったわ。」
それを聞くなり碧の顔は一気に明るくなった。
「おはよう、怜花。教室で話すのも難だし廊下で話そうよ。」
碧が廊下で話したいと言うので私達は教室から出た。
「それで、何処の病院だったの?」
碧が食い入るように私に迫ってきた。そんなに迫らなくても私は言う。
「この学校の近くにある私立流川総合病院よ。」
「病室は?」
私はとんだ失態をおかした。病室を調べるのを忘れていた。そんな時は悠仁に聞いてみる。彼なら知っている気がする。
「碧、ちょっと待っていて。」
私は急ぎ気味で教室へ戻り悠仁に
「美月ちゃんの病室知っている?」
と聞いた。さすがにそれは知らないかもしれないと思っていたら
「306号室だよ」
と普通に言ってきた。
(助かるけれど怖いわ)
教室を出て碧にそれを伝えると「僕、今日行こう。」と言っていた。
◇◇◇
お昼休みだ。
私は今初めて来るフードコーナーと言う場所に三人で来ていた。
ゲームをしていたときにこれいいな、と思っていた学校のフードコーナーに今私はいる。
とても感激だ。
「怜花さん、私今感激していますわ。」
賀奈子さんも同じことを思っていたようだ。
「私もよ。」
するとなぜが悠仁が
「え~、そんなに褒められると照れちゃうな~」と言っていた。
彼は何を言っているのだろうか。彼が変なのはあった時からなので慣れた。
私は食べたいものを注文して、空いている席に座った。
頼んだのはローストビーフのサンドイッチミニサイズとオレンジジュースだ。
ここのフードコーナーにはありがたいことにミニサイズと言うものがあった。
私はそんなに食べないので助かる。
「怜花さん少なくないですか?足ります?」
それを見た賀奈子さんが心配したようにそう言ってきたがこれ以上食べたら逆に気持ち悪くなる。
「成長期なのに勿体無いよー俺のイチゴサンドあげる」
(やめてーーーー。)
「私、本当に少食で、沢山食べると気持ち悪くなるの。前世からそうなのよ。だから遠慮するわ。」
悠仁はそれを聞いた瞬間にまた驚いた顔をしていた。
「俺の好きな人と同じだ。もしかして同一人物だったりして…そんなわけないよね…」
「あ、そう言えば二人とも前世では何をしていらっしゃったんですか?」
お昼ご飯を食べ終わる頃にふと彼女が言った。
「社長秘書」
「社長」
私と悠仁の言葉が重なった。
(社長って晴樹と同じ…)
「怜花さんはそんな感じがしますけど悠仁様はなんだか想像がつきませんね。」
(晴樹はこんなにチャラくないもの、違う、彼じゃない。)
こんなにも同じだと怖くなってくる。晴樹は実は悠仁ではないかと思ってしまう。
そんなはずはないのに。
私達は教室へ戻った。
PV3000越えありがとうございます。頑張ります




