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あざとい

短めです。


(困ったわ…)

この鬼のような雰囲気を纏ったうちの兄様と姉様をどうすればいいのか。眼鏡と髪護謨を外し、


「私、悠仁と婚約したいの。ダメかしら…」


少々あざとい気もしたが、これも彼のためだ。私は乙女ゲームの悪役令嬢の癖につり目ではなく、垂れ目に大きな瞳。悪役令嬢と言う肩書きがなければ只の美少女なのだ。

本人が言うのも気が引けるが、美少女なのだ。大事な事なので二回言った。

「くっ…可愛いっ…いつもはこんなことしないのに…、はぁ写真撮っていい?撮っていいよね。いや、撮るね。」

と言うと一眼レフを何処からか取り出して私を取り出した。姉様も混じっていたがそれはいつもの事なので突っ込まない。

「婚約、してもいい?」

瞳をうるうるしようかと思ったが無理だったため上目遣いで頼んだ。


「うーー、そんなこと言われたら断れないでしょう。こんな得たいも知れない男に怜花を渡したくないけど怜花はこいつのこと好きなんでしょう。怜花がこいつと婚約したいって心から思ってるなら僕は怜花のために許すよ。でもお前の事は許さないからね。もし、怜花を見捨てたらどうなるか…分かってるよね?」


幸人兄様の悠仁の呼び方がどんどん悪くなっている気がするが、それは仕方がないとして、いずれ婚約を解消する時はとんでもないことが起こりそうだ。

そして私は彼の事は別に好きではない。

兄様達を騙すようなことになってしまったのが心残りだが、取り敢えずこれでいいだろう。

「はい。ありがとうございます!」

悠仁は笑顔で元気良く礼を言った。

「さっき幸人兄様が言ったこと、肝に命じておいて頂戴ね。」

玲奈姉様は語尾にハートが付きそうな勢いで悠仁に言った。

「分かってます、怜花チャンの事、大切にします。」

悠仁の言っていることは間違ってはいないので良いのだが、後がやはり怖い。

「取り敢えず、帰ってくれる?用も済んだでしょう。さよなら、悠仁君早く帰ってね。」


兄様からの帰れコールが来たので、悠仁には帰ってもらおう。

「悠仁、また明日。」

「俺、明日怜花チャンの事迎えにいっていい?」

一応婚約者(仮)になったのだから別に構わない。その方が怪しまれないだろう。

「ありがとう、待っているわ。」

「じゃあ、またね~。」

悠仁は軽ーい感じで帰っていった。取り繕うのを忘れているのに彼はきっと気付いていないのだろう。

(可哀想な人だ)

悠仁が帰ると幸人兄様が私に聞いてきた。


「ねぇ怜花、お父様達には言ったのかな?」

「言ったわ。」

ラアイイーンではなく、さっきメールで送ったのだが、『良かったな、破棄されぬように頑張るのだぞ。』と返ってきた。

お父様、婚約は残念ながら破棄される。 


さっき外してからつけるのを忘れていた眼鏡をかけ、髪をポニーテールにしてから、私は制服から普段着に着替えた。

今日は色々な事が起きて大変だった。

(また、賀奈子さんと話せたらいいわね。)

彼女と知り合ったのは今日なのでまだ知らないことは多いが、いずれは親友になりたい。


碧に「美月ちゃん」のいる病院を明日教えると言ってあるからパソコン室で調べようと思う。

パソコン室ならその情報はあるはずだ。


(えーと、桜音杜美月は…)

美月ちゃんがどの病院にいるか調べたらすぐに出てきた。

遠くにいたら面倒だと思っていたのだが、柳瀬桜燐学園の近くにある病院だったので学校の帰りに寄れそうだった。

碧は彼女の事を覚えているが、彼女の方は碧の個とを覚えているのだろうか。

そんなことを考えていたらお風呂が沸いたとメイドがいいに来たのでお風呂に入ることにした。

ここは別荘な筈なのにお風呂がとても広い。

これもお父様が頑張って働いてくれているからだと思うと、自然とお父様に感謝の気持ちがわいてきた。

(次お父様に会ったらお礼をしよう。)


お風呂から上がると自分の部屋に戻り勉強をすることにした。

中学生の勉強は簡単ですべて分かってしまうが、それしかすることがないのでやっている。

前世は働くことが生き甲斐だったため、今のお嬢様生活は私には少しつまらない。


(大人になったらまた社長秘書をやりたいけど、社長が晴樹じゃなきゃ頑張れない。)


お風呂に入るときにとった指輪を見て晴樹の事を思いだし、寂しくなった。

今、彼がどうしているのかは私には分からないが、幸せになっているといいと思う。

でも、私以外の人と結ばれて、幸せになっているのだとしたら少し悲しい。


(明日に備えて早く寝ないと…)



寝たら、このモヤモヤも消えるだろうか。


そんなことを考えながら、私は眠りについた。






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