第7話「翼竜 VS ジェット戦闘機(後編)」
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『聖女召喚されたけど、二人もいらないそうです〜実はチハたん(九七式中戦車)持ちで、燃料無限なんですが。好きに生きますね〜』
よろしくね!!
それはいっそ、肉袋を投げつけたのような有様だった。
「「「ぎゃぁぁあああああああああああああああ?!」」」
……掠っただけで人体を粉砕し、直撃をうけた翼竜は爆散または炎上させる悪魔の砲弾を真正面から食らったのだから、直撃しなかったものさえも、破片と火炎で次々に負傷または即死するしかない。
あちこちに人体と翼竜たちの炸裂が続いたかと思えば、前方の空にぶちまけられ、貴重な魔術師たちで構成された勇士たち──魔法兵団の精鋭がなぎ倒されていった。
刹那、あっという間に大混乱に陥る敵集団。
半数以上の翼竜が、損傷ないし撃墜された所で、
「……よーーーーーし!! 封鎖線を突破する──────つっこめぇぇぇえええ!!」
バンメルの頭を押さえつける様にして、ドラゴンを躊躇なく突進させる!
……いいから、いけ!!
「おい、ナセル無茶をするなぁぁぁあああ───うぉっぉおおおおおおおおおお!!」
バンメルの悲鳴もそこそこに、その大混乱の翼竜部隊のど真ん中にあいた穴を押し広げる様にして、強引にナセル以下の輸送機10機が突っ込んでいく!!
もちろん、防御火器を乱射しまくりながらだ!!
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!
それがさらに混乱に拍車をかける!
防御火網に捉われた翼竜は僅かだが、戦術目標たるナセル達の突破をみすみす見逃してしまったのだ。大口径砲をまともに食らった直後ゆえ、しかたないとはいえ、だ。
「はーっはっはっは! 突破したぞッ!」
「ば、馬鹿が……! この馬鹿垂れがっぁぁあ! 無茶苦茶しおってからに──」
「うまくいったんだからいいだろうが」
「やッかましい!! 心臓が止まるかと思ったぞい!」
───バンメルの心臓がそう簡単にとまるものかと、ニヒルに顔を歪めると、そのまま、強引に封鎖戦を突破したナセル達。
そこを、慌てて残余の翼竜が追いすがろうと、無理やり軌道を変えているが……それはどうみても悪手だった。
まとまった戦力で追撃しようと密集したのが運の尽き。
その頭上を、
───ギュゴゴォォオォォオオオオオオオ!! ゴォォォオオオオオオオオ……!
翼竜部隊を蹴散らし、ぶち抜いたMe262が猛烈な加速と急上昇を見せて、さらに上昇し、上昇し、上昇し────……。
横一列に綺麗に並ぶと───……逆落とし気味に、一気に急降下する4機編隊ッ!
一撃離脱の体勢で新たな敵の梯団に突っ込んでいく!
その距離───1000m!!
「バンメル───……一応確認しておくが、あれはアンタの部下だよな?」
「そうじゃのー?……魔王軍と戦いもせんで後方で油を売っとる、クソみたいな連中じゃよ。……ま、クソの価値もないわ」
ペッ。と空に唾棄するバンメル。
「おいおい……」
……本気でそう言っているのだから、この爺には人望がないのだ。
気を遣った自分がアホらしく思えるほど。
「さーて、お次はなんじゃ?」
「……あぁ、もういい! 聞いた俺が馬鹿だったよ───……止めをさせッ」
『『『『了解』』』』
一個小隊の小隊長機が軽くバンクを振りつつ、急降下を仕掛けたまま横並びに飛行姿勢を安定させると、投弾位置についた。
そして、まんまとキルゾーンに飛び込んできた翼竜の只中に向け──……。
『───発射ッ』
トントントンッ!! 弾道を探る様に30mm機関砲が連射されたかと思うと、次には、ドシュン! と、空対空ロケット弾がぶち込まれる。
主翼が真っ赤に燃え上がったかと錯覚するほどの猛烈な発射煙とともに、
通称:嵐という名を冠する『R4M』無誘導の空対空ロケット弾が全力発射される。
それは、ジェット戦闘機の片翼に12発ずつ搭載され、一機あたり24発───。
『発射ぁぁ!』『発射ッッ!!』『発射ぁぁぁああ!』
ドシュン、ドシュン、ドシュシュ──……!
それが、4機編隊全てならば、96発!!
いっそ、無数のロケット弾が、一発目の発射を呼び水に、次々に発射されていく!
まさに一斉射撃。
……一斉射ッッ!!
ズババババババババババッバババババババッッ!
ズババババババババババッバババババババッッ!
……まるで、空が燃え上がったかのよう。
発射噴流を後方に吹き流しカッ飛んでいくロケット弾の嵐は、まるで豪雨のごとく翼竜部隊に突き刺さる!!
そう。
…情けも、
……容赦もなく!!
──シュゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!! と、空に響き渡る、その凶悪なまでの轟音と共に!!
ギェェェェェェエン!!!
ギィェェェェエエエエン?!
怯えた翼竜たち。騎手たちも思いっきり手綱をひくも、時すでに遅し!
低伸性と直進性の低いロケット弾ではあるが、その分、横や上下に微妙に広がりつつ散布界を大きくいくと─────……ついに、着弾ッッ!!
ボォォッォオオオン!!
……ボボボボボボボボボボボンンンンッッ! と、朝焼けの空に、一斉に横並びの爆発の花が咲くッ!
「「「ぐぁぁぁあああああああああああああ!!」」」
誰かの絶叫とともに、まともに食らった翼竜があちこちで爆散し、空に消えていく!
たとえ直撃しなくとも、爆裂の炎と破片が周囲にぶちまけられ翼竜や騎手を次々に傷つけ叩き落としていった。
…まさに虐殺だ。
いかに翼竜が凶暴だろうと、
搭乗する魔法兵団の兵士たちが障壁を張ろうと、所詮は空飛ぶ魔物と兵士に過ぎない。
アメリカ軍が誇る4発エンジンのB-17重爆撃機すら一撃で叩き落とす威力のロケット弾を喰らって、生物が無事でいれるはずもなし。
さらには、ダメ押しと言わんばかりに、爆炎を突き抜けるジェット戦闘機群が、生き残りの翼竜に向かって大口径機関砲を乱射しながら突っ込んだ!
───ドドドドドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカ!
───ドドドドカドカドカドカッドカドカドカドカドカァン!
───ドドドドドカドカドカドカドドカドカドカドカドカン!
そこはもう、阿鼻叫喚の地獄。一方的に叩き落とされるのは、魔法兵団のみ!。
「「「ぎゃああああああああ!!」」」
「「「うわぁぁぁあああああ!!」」」
それは、まさにトドメ。
逃げ惑う翼竜部隊の残余を、時速860kmのジェット戦闘機が追い回し、大口径機関砲で叩き落としていく。
ただでさえ、ロケット弾の集中射撃を受けた翼竜部隊は、大幅に数を減らしており、さらには密集していたことで頭上から降り注ぐ味方の残骸と、恐慌に陥った翼竜の迷走にあちこちで空中衝突が起こり───もう無茶苦茶だ!!
──ぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
誰とも知れぬ絶叫だけが響き、
輸送機に近づくどころか、ロクな抵抗も出来ずに墜落していく。
「ひょほ~。これがどいつぐんかー!!! すごいのー、たまげたのー!! ひょほほほほー。翼竜どもが、まるでゴミのようじゃわいー」
呵々大笑。
ひとり喝采するバンメルが、じつに楽し気に空の殺戮を観覧している。
「……何を暢気に言ってやがる。あんなんでも、アンタの部下だろうが」
「カッカッカ。堕としておいて、今さら───。……ま、この程度でくたばる連中よ。魔王には、と~てもかなわんさ。そんな連中、ど~うでもええわい」
本当にどうでもよさそうに宣うと、バンメルは肩をすくめていた。
コイツ本当に魔法兵団の元帥なのか??
「ったく……。ほんと、アンタは一体何がしたいんだ?」
「あぁ??……何度も言っておるだろうが。わしの狙いは初めっから────っと、時間か??……お喋りはここまでじゃな。ほれ、封鎖線の先は、もう騎兵連隊の駐屯地上空じゃぞ」
ナセルの言葉を遮るバンメル。
そして、言われるまでもない───促されて前方かつ下方を眺めるナセル。
「…………あぁ、そのようだな」
「チッ」どこかはぐらかされたような気もするが、まぁいい。
たしかに、目標上空に差し掛かりつつあった。それは、当初の降下コースから大きくそれてはいるが、これくらいなら旋回で多少は修正が効くはずだ。
「たしかに、今はアンタと駄弁ってるときじゃない───だけど、忘れるな? アンタとは仲間じゃない」
「ワシも仲間とは思っとらんよ??」
……ったく、ほんとに食えない爺さんだ。
まぁいいさ。バンメルの事なんざ二の次だ。
ナセルは気にすべき最大の関心事項はただ一人の女のみ。
──────リズ……。
(……お前は、そこにいるのか??)
夜明けの薄明りに、騎兵連隊の広大な敷地が青白く輝いていた。
あのどこかに……。
この地獄の最前線のどこかに……。
「……待ってろ、リズ。今行く」
すぐに行く。
……………………──だから!!
「総員降下用意───!」
『『『了解ッ!』』』
───だから、生きていてくれ……!
ナセルの願いが空に流れていくとき。
ついに異世界の空で、世界初の空挺作戦が開始される……!!
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