第3話「ドイツ軍降下猟兵(前編)」
──出でよ、ドイツ軍ッッ!
くわっ!! と目を見開いたナセルが魔力を注ぎ込むと、
誇乗するドラゴン上に無数に浮かび上がる召喚獣ステータス画面。
いつもの透明板。……いつものステータス画面だ。
そして、そこに映し出されたものは……、
……ブゥン。
ドイツ軍Lv7:
※ ※ ※:
Lv0→ドイツ軍歩兵1940年国防軍型
Lv1→ドイツ軍歩兵分隊1940年国防軍型、
ドイツ軍工兵班1940年国防軍型、
Ⅰ号戦車B型、
Lv2→ドイツ軍歩兵小隊1940年国防軍型、
ドイツ軍工兵分隊
Ⅱ号戦車C型、
R12サイドカーMG34装備
Lv3→ドイツ軍歩兵小隊1942年自動車化
※(ハーフトラック装備)
ドイツ軍工兵分隊1942年自動車化
※(3tトラック装備)
Ⅲ号戦車M型
メッサーシュミットBf109G
Lv4→ドイツ軍装甲擲弾兵小隊1943年型
※(ハーフトラック装備)
ドイツ軍工兵分隊1943年型
※(工兵戦闘車装備)
ドイツ軍砲兵小隊
※(軽榴弾砲装備)
Ⅳ号戦車H型、
ユンカースJu87D
Lv5→ドイツ軍装甲擲弾兵小隊1944年型
※ハーフトラック装備
ドイツ軍工兵分隊1944年
※火焔放射戦車装備
ドイツ軍砲兵小隊
※重榴弾砲装備
パンター戦車G型
フォッケウルフFw190F
Lv6→ドイツ軍装甲擲弾兵小隊1944年型
※重装備(ハーフトラック装備)
ドイツ軍工兵分隊1944年型
※大型ロケット弾発射機装備
ドイツ軍砲兵小隊
※自走重榴弾砲装備
ティーガーⅠ戦車
フィーゼラーFiー103
※He111H後期型に登載可能
Lv7→ドイツ軍降下猟兵小隊1944年型
※ユンカースJu52装備
ドイツ軍降下猟兵工兵分隊1944年型
※DFS230装備
ドイツ軍列車砲兵
※80cm列車砲装備
ティーガーⅡ戦車
メッサーシュミットMe262
(次)
Lv8→降下猟兵小隊1944年、強襲型
※メッサーシュミットMe323装備
降下猟兵工兵分隊1944年、強襲型
※空挺戦車装備
ドイツ軍ロケット砲兵部隊
※トレーラ発射型A4ロケット装備
マウス試作戦車
アラドAr234B
Lv完→????
ついに到達した現人類最強の境地──召喚獣Lv……7。
それは勇者を降し、何度も封印したナセルが至った文字通りの最強の証だった!
「……さぁ、いくぞLv7召喚獣──ドイツ軍よッ!!」
「ひょ、ひょほほほー! お主また強くなっておるのかぁ?」
さすがに目を見開くバンメル。
強者にしかわからない気配を感じ取ってでもいるのだろうか?
「──はっ。見ての通りさ!」
人類最強の一角であるバンメルでさえ、Lv6のドラゴン召喚士なのだ。
Lv7がどれほど規格外化は言うまでもない。
──……そして、
いっそ、言葉通り目に焼き付けるがいいッ!!
──はぁぁぁ…………ッッ!
「ドイツ軍、召喚ッ!!」
カッ──!!
ナセルの魔力が迸り、
高空に浮かび上がる召喚魔法陣!
※ ※ ※
ドイツ軍
Lv7:ドイツ軍降下猟兵小隊1944年型
※ユンカースJu52装備
スキル:空挺降下、降下射撃、空挺堡確保、
小銃射撃、手榴弾投擲、
折畳み銃剣突撃、etc
備 考:1944年に活躍した降下猟兵部隊。
降下猟兵は空挺部隊のことである。
後年は大規模空挺作戦は実施されず、
精強な歩兵として戦場を支配した。
装備機体は旧式だが信頼性が高い。
兵士は親しみを込めて、
「タンテユー」と呼ぶ。
※ ※ ※
直後──その中から、キラキラと召喚光を纏った機体が爆音を立てながら飛び出してくる。
グゥォォォォオオオオオオオオオオオオオオン!!
グゥゥォォォォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
グゥゥォォォォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
「な、な、な……なんじゃそりゃぁぁっぁああ?!」
バンメルが目をむき驚愕している。
それもそのはず。
ナセルが召喚したのは、ドイツ軍唯一の空挺部隊──降下猟兵だ!
しかも、それはただの歩兵にあらず!!
キラキラと輝く召喚光をまとわりつかせながら召喚魔法陣から飛び出してきたのは、波形鋼板で覆われた空の荷馬車Ju52/3m輸送機の編隊!
それは、グォングォン!! と力強いエンジン音を響かせながら、BMW600馬力級エンジンを3発装備した中型航空機の群れであり、
その腹の中には、完全武装したドイツ軍が搭乗を完了した状態で召喚されていたのだ!
「ふ……! これが、進化したドイツ軍の威容だッ!」
彼等こそ、ドイツ軍の中でも、精鋭中の精鋭にして───。
ドイツ空軍所属。
「──Lv7召喚獣、空の猟兵であるッッ!!」
誇らしげに語るナセルと、並走する輸送機の群れ。
ポカンと口を開けて居たバンメルもやがて呵々大笑し、
「……こ、こりゃ~たまげたな。まさか、兵士まるごと空輸するとは、いやはや恐れ入った──カーッカッカッカ!!」
バンメルが掛け値なしに褒め称える。
それほどに画期的な戦略なのだろう。
長躯侵攻し、敵の予期せぬ場所に兵力を展開する!
……まさに、今回の救出にうってつけの兵科であった。
「だが。まだだ。まだ足りない──」
──まだまだ降下猟兵がいるッ!
……敵は腐っても最精鋭の騎兵連隊。
一撃で倒すには兵力が足りない……。足りなさすぎる────!!
だから!!
グゥゥォォォォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
「もっとだ……! もっとだ!!」
もっと……!
もっと、
「────もっと来いよッ!」
ドイツぐーーーーーーーーーーん!
ブワァッァア───!!
※ ※ ※
ドイツ軍
Lv7:ドイツ軍降下猟兵工兵分隊1944年
※DFS230装備
スキル:空挺降下、降下射撃、空挺堡確保、
短機関銃射撃、爆破作業、
障害処理、応急陣地構築、
応急障害構成、経路開拓、etc
備 考:1944年活躍した降下猟兵の工兵。
空挺作戦用の特殊装備を多数保持、
頑強な精神と肉体で戦う戦闘工兵。
装備機は輸送機牽引のグライダー、
改良型は完全武装兵が15名搭乗可。
※ ※ ※
シュパァァッァア……!
「はぁ、はぁ……!」
空を染め上げる召喚魔法陣と、キラキラと粒子を振りまく召喚光の軌跡。
無数の召喚魔法陣とともに現出した輸送機の群れは、さらに、軍用グライダーをも曳航し、その兵力はとどまることを知らない。
「かはっ……!」
「お、おいッ! む、無茶する出ないぞ? 現地に直行してから召喚してもよかったのではないのか?」
ボタボタは鼻血を垂らし、顔色を悪化させるナセルにバンメルが珍しく気遣う。
「……大丈夫だ。召喚時のコストが高いだけで、一度召喚させてしまえば維持だけでいい──」
だから、今は大丈夫。大丈夫……。
王都で回収した魔力回復ポーションをがぶ飲みし、空瓶を投げ捨てるナセル。
「いや、ワシが言いたいのはそうでなくての……」
言わんともしがたい気持ちを押し殺して言うバンメル。
だが、心配無用──。
「敵は騎兵連隊だ──……。動きは素早く、機動性に優れる──」
だから、悠長に降りてから攻撃していたのでは取り逃がす恐れがある。
リズが再び連れ去られるようなことがあれば、今度こそナセルの負けなのだ……!
「……だから、さ。最初から全力で兵力をぶつけて、奴らとのとの決戦を企図する必要があるんだよ」
奴らが精鋭だというならば、正面切って攻撃を仕掛ければ、まずは全力で対処しようとするはず──仮に連中が、最初から逃げの一手を打つとしたら、それは状況が不明な時のみ。
──だから、『奇襲』ではなく『強襲』をするのだ!!
そして、それができる兵力はナセルの中ではただ一つ──……降下猟兵しかいない!
「わかったら、黙ってろ──ごほッ」
……はぁ、はぁ。
Lv7の召喚獣の要する魔力はやはり膨大で過剰だった。
当然本来のLvが低いナセルには尋常ではない負荷がかかっている。
実際、魔力の過剰使用のため、鼻だけでなく、耳や目からもからも血が流れ落ちる───……が、知ったことか!!
(……今日、この日魔力が尽きてもいい!)
──リズを救う、
その、今日だけ魔力がもてばいいッ!
「───|いくぞ、ドイツ軍ッッ!」
輝く『ド■■■』の呪印!
その呪印からもたらされる魔力を受けて、無数の魔法陣から飛び出したドイツ軍は、重低音を響かせながら空を行く!!
その中型輸送機が大量に驀進していく様は、まさに圧巻だ。
彼らは一様にキラキラとした召喚光を纏いつつ、
兵士たち全員が特徴的な空挺部隊ヘルメットを被った特殊装備で身を固め、自動策環を携えていた。
さらに、輸送機の機尾には、鋼線で牽引する軍用グライダーをも引っ張っていた。
これなら、誰にも負けない
──これぞ、ドイツ軍降下猟兵!!
『一番機ッ! 準備よし──』
『2番機ッ! 同じく───』
『3番機から10番機まですべて準備よしッ!』
──グゥォォォォオオオオオオオオオオオオオオン!!




