↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/9

Ep.6 俺だけの釣り場

「あぁ、俺は忘れていたよ。完全にわすれていた。」

「そうね、ここ戦場跡地だものね、」

「これは酷いですね、、、」


俺たち3人は新しい所領に戻って気づく。ここはつい3日前まで戦場だった土地。あたりに残された遺体や血溜まり、それに群がるカラスの大群は当然のこととして異民族領も近い。夜には度々領内に侵入してくる不審な人影が多数見られた。


「喫緊の課題は自衛力強化と労働力確保のため、新しい領民が必要か。あてもないし考えるだけで頭痛くなってきた。俺頭冷やしに釣り行ってくるわ」


「逃げるなこのオタンコ領主」

エリゼはシャツの襟元を引っ張る。


(いや、だって仕方無くない??この汚染された戦場跡地を清掃するにはかなりの人手が必要だよ?!そんなもん何処で手に入れんのよ、しかもこんな辺境地帯に定住希望の人間なんかいるのか??現実逃避もしたくなるよそりゃ。)

そんなことを考えていたとき、猫娘エレナに貰った笛のことを思い出した。


(あ、そうだこれ使えばええやん)

俺が力いっぱい笛を吹くと何処からともなく猫娘エレナが姿を現した。


「読んだかにゃご主人?」

「あぁ、ちょっと聞きたいことがあってな。つかご主人やめろし、この間あったばっかやんけ」

横にいたエリゼは誰よその猫女と言わんばかりにシャーッと威嚇していた。


「俺は今日からこの湖一帯の領主になった。そこで人手と移住者を募っているのだが宛はないか?」

俺は前回この娘と話したとき、彼女らの居住地はかなり貧困化が激しいのだと耳にしていた。ここなら水に食料、良質な自然環境を提供できる。


「さすがご主人。もうそこまで上り詰めると幸運ですニャ。それにご主人の目の付け所はいいにゃぁ。今すぐにでもここに越してきたい奴はかなりいるはずにゃ。多分500はいるにゃ、」

俺はエレナにすぐ移民受け入れの用意を示した。ま、昨日王都で買い漁った馬車3台分の保存食があれば当面の食料は持つだろう。人口問題はクリア。


新しい産業の1つとして鉱山権も取得。昨日の謁見で湖畔近くの鉱山利権は王家が7割、それ以外の収益は我らの所領に入れてもらえることを確約していた。つまり、不労所得には困らんし今後の財政面も堅調に推移するということさ。


このうわさを聞いた商人が将来を見据え、既に何組かうちのテントに商談を持ち込んでいる。商談が進めば話を嗅ぎつけた期限付きの炭鉱労働者も沢山集まってくる事だろう。今のとこは幸先が良い。


既に山中の洞窟内では試し掘りが実施され、王国の専門家チームの調査結果からミスリルが2割、鉄鉱石が7割、その他貴金属が採掘されたと聞いた。


「すごいぞオーデン!ちょっとした貴族並みの資産を数ヶ月で築けちゃうよこれ!」

エリゼは興奮しながら帳簿を叩き、経費を差っ引いた純利益をソロバンで弾きだす。


「そうかぁ〜嬉しいなぁ〜」

(そんなことよりキングサーモン!キングサーモンを釣り上げたいんだ!)


テントの外に足音が聞こえる。獣人族の群れだ。エレナが呼んできた一向が半日も立たずに到着したようだ。全く獣人族の身体能力は凄まじいな。


テントから出て移民たちの顔を見ると、耳の形状と尻尾の形から猫族が7割り犬族が3割といった所かな。猫族はすらりとした体型で犬族はガッシリとした体育会系。

俺は彼らに仕事を振り分けた。

猫族は小回りが効くから山中での建築資材の伐採。

犬族は体格とパワーを活かして建物の建設。

時間があるやつは日に3時間の軍事訓練を受けてもらう。


付き添いできた獣人族の長たちは軽く挨拶をすると、移民証明と市民編入許可の書類にサインし、少しの間世間話をすると里へと帰っていった。


獣族の長たちが帰ると、俺は今日最後の仕事に取り掛かった。この街の新しい名前を命名しなければならない。そうしないと今後の手続きが色々と面倒になるとグロディーは言う。


「そーだな、キングサーモンにするか」

「ふざけているんですか??」

グロディーは鋭い眼差しを俺に向ける。至って真面目に考えているさ、だってここキングサーモン釣れんでしょ??なら、今後の町おこしとしてもインパクトあっていいじゃん。


(あれか?昨日までグロディーの事を細身な男だと思ってて、ノックもせず湯浴みしてる最中に話しかけたのをまだ根に持ってるのか???)

左頬がまだジンジンしている。しかし、昨日みた姿から日常は晒しを巻いて立派なもんを隠しているのだろうか???  


「何ですかその目線は、もう一度引っ叩きますよ」

それは勘弁願いたい。昨日の一撃でこっちは鼓膜切れてんだよ。


俺はテントの外を眺め、サンサンと照る太陽を見て決めた。

「なら、アーテルってのはどうだ??俺の知っている地域の太陽神。豊作の神でもあるその名をお借りするってのは」


「アーテル!いいわね!」

森林伐採の現場監督をしていたエリゼが戻って来た。

「そうですね、アーテル。不思議とこの街の未来も輝いてるように思えます」


満場一致でこの新しい街はアーテルに決まった。 

何か大きな箱を持ち出してきた。中には建築の図面がびっしり、グロディーは元々親の勧めで軍人になっただけで、本人の希望は建築家だったのだという。


現在23歳になるまで、日夜区画整備や新しい建築物の設計図面を書きまくりこのように溜め込んでいたのだと言う。グロディーはこの場所で新たな才能を開花させることはできるのか??それはまた後の話。


さて今日の来客対応と書類審査、街の命名も終わったし魅惑の湖に向かうとしますかね。今日からここが自分だけの釣り場。いや、これから先観光地化して大勢の人々に釣りを楽しんでもらうのも悪くない。


「取りあえず、今は俺だけの釣り場として楽しむぞッ」


ティロ〜〜ン

★今日の釣果ゼロ

次回 

Ep.7 マナー違反、釣り場を荒らすな!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。